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WW1〜タイフーン等、鋼材骨組みの場合、多くが「鋼管」です。 なぜH、山形、角パイプ等でなく丸パイプが主用されたのでしょうか。 丸パイプは断面積あたりの断面係数で有利でなく、溶接時の座ぐりの手間で、(角パイプもこれは同じですが)溶接箇所の裏にアプローチできないため裏からの補強溶接もスラグ除去もできず、中の塗装もできず、別部材をボルトやリベットで止めるのに貫通させたらパイプを潰す力が働き、中で止めるには工夫が必要です。 後代のアルミ系セミモノコックの補強剤でも丸パイプはあまり見られず、山形断面が殆どのように思われます。 六 |
- 方向に関係なく同じ曲げ剛性で捻じれに強いのと、なにより供給元が多いからではないでしょうか。
自転車、モーターサイクル、はしご型またはスペースフレームの自動車のシャシ部材が鋼管なのも同じ理由だと思います。
DDかず
- コメントありがとうございます。
一応、部材ごとのたわみ計算ぐらいはしながら、実際に(航空機とはいきませんが)、自重100kg級の軽車両を作ったりするのですが、鋼管は山形鋼に比べて2〜3割重くなります。
組み上がったフレーム全体としての強度計算ができる知識はありませんが、いろいろ荷重をかけて変形を観察しつつ補強を入れたり外したりしてみる限りでは、ねじり剛性より曲げ剛性のほうが圧倒的に重要に思えます。
人が触れる箇所にパイプが良いのはわかります。自転車や自動車のロールケージはこの理由ではないでしょうか。
自動二輪や自動車の場合、異形の素材も多いように思えます。
供給にしても、翼の桁ではしばしば専用品が作られますし、山形鋼がパイプより生産しにくいとも思えません。
ねじり剛性と供給元というメリットだけで重量増を忍ぶというのはいささか腑に落ちません。
六
- 人が触れる箇所とパイプに関係性はあまりないと思います。フレーム構造の自動車のフレームやモーターサイクルのフレームに人が常時接触する機会は少ないですし、自転車の構成部品はパイプで組まれたフレームだけではなく、生身の身体には接触すれば厳しい部品も多々あります。
黎明期に関しては、飛行機のフレーム製造は自転車のフレーム製造の延長技術で行われていたので、肉薄鋼管を使い慣れた職人がそれを選択するのは自然なことで、そこに理論的アプローチはないと思います。
その後1930年代まで鋼管が使われた理由はわかりませんが、現在のクレーンのブームにも鋼管トラス構造が使われる例を見れば、同剛性を確保して組上げられたスペースフレームの重量で鋼管がアングル鋼やH形鋼に対しおっしゃるように劣るものか少々疑問ではあります。
DDかず
- 自動二輪については80年代頃までは鋼管フレームはごく普通でしたよ。
民間用の乗り物はコスト面も大きいとは思いますが
航空機はさまざまな方向から負荷がかかるでしょうから、曲げに対する剛性が重要ならば丸パイプの方が他のより軽くできそうです。負荷の解析が未熟な時代はさまざまな方向の曲げに対して強い丸パイプを念の為、使ったんじゃないでしょうか?
解析技術が進んだからこそアルミセミモノコック等が採用出来たのでは?
なかばゴミですが、H社だったかY社だったかの開発者の方が自動二輪のフレームに当時流行りのアルミモノコックを採用しなかった理由に、
アルミは鉄(鋼)と同じ重量で同等かやや上の剛性が確保できるが粘りの点でアルミは鉄におよばないので、あえて鋼管フレームにした。
とおっしゃってました。
普段はROM
- 1. 鋼管は、座屈および曲げ座屈に関して、方向性のある山形鋼より有利になるはずです。
2. 山形鋼は、セミ・モノコック等の補強材として表皮となるプレートと一体として応力に抵抗する場合に有利になります。
上記1,2から、純粋にフレーム(この場合トラス・フレーム)として構造体を作る場合、鋼管の方が強度・靭性共に高くなる場合が多いです。
なお角形鋼管の場合、製法に関わらず、一旦丸チューブとして円断面に成形したものを四角に加工します。(サイジング)この時に隅角部に残留応力が生じやすく疲労破壊の原因になっていました。解決されたのは少なくとも大戦の後だった筈です。
タンジェント
- コメントありがとうございます。
すると、解析はいつごろ可能になったのでしょうか?
アズロール製法角パイプは戦後になってから、なのでしょうか?
限られた範囲ですが、こんな比較があります。
http://imayomu-kentiku.jp/?p=1983
かなり違うような気がいたします。
「せい」が20mm級(「飛行機の再発見」のドイツ機はたしかこれ)だとHでもないでしょうから、等辺山形綱で私が(オンラインサービスで)計算してみると鋼管とあまり変わりませんが、たとえば直方体に組めば方向性の弱点は相殺されないでしょうか。
鋼管は相対的に肉が薄くなりますから、当て金なしだと溶接部すぐ横が弱くなり、当て金すれば重くなりますよね。細かいこといえば溶棒も少し多く残す必要が生じるでしょう。
あるいはなぜ、航空機に先行する自動車で、鋼管が主用されるようになったのでしょうか?
さらに先行する馬車も木金混合ですが木材主体で、かなり細かく材種や材形、木目(大きな材から丸く切り出すのではなく曲げて育てる等)が使い分けられています。車輪だけでも3、4種類の材+輪金ですし、大きな荷重が掛かるところには、「せい」が10インチ級のオークが使われたりします(Iのと違ってフランジこそありませんが、航空機主翼主桁に先行する発想かと思われます)。
速度が遅いこともあり、鉛直荷重が大半です。前後方向の力はほぼ無視され、斜面を斜行する際も、タイヤが先に破綻しますから車体の強度は心配されません。
これが、自動車黎明期に、ちゃんとした解析なしに、横方向の力を過剰に心配して鋼管が使われるようになった、だったりはしませんでしょうか。
そして、再び鉛直荷重が突出して重要な航空機になっても、横荷重への過度な手当がや慣れが残って鋼管が使い続けられた、だったりはしませんでしょうか。
きりもみとか水平きりもみとか、そりゃ、あります。
しかし翼の付き方からして、大きな荷重がかかる方向は限られていますよね。
どの方向にも強い鋼管の概直方体フレームは重量の無駄ではないでしょうか?
六
- 釣竿やパイプ椅子と同じ考え方です。
丸い釣竿があるが四角い釣竿はありません。丸いす・パイプ椅子も丸パイプです。
>>自重100kg級の軽車両〜鋼管は山形鋼に比べて2〜3割重く
>>鋼管は相対的に肉が薄くなりますから
↑
考え方の頭と尻尾が逆です。
記入されたサイトは【建築などで用いる】構造材【単体】の話ですね。書いている事がわかりにくいのですが、多分加重を受けた場合の強度について書いているのだとおもいます。仮に書いてる事が正しいとしてもこの件には当てはまりません。鋼材は種類ごとに得意不得意があるんです。
アルミ、鉄、木材は材質が違うので考え方が異なります。
タンジェントさんの書き込みが正解です。
この質問が閉じられていないなら暇な時に追記します。
まやん(通りがかり)
- 航空機に先行する自動車から、というご示唆がありました。
思いついて All Illustrated Anatomy of the World's FIGHTERS をめくってみました。
応力材か整形材かや、材質、肉厚などはありませんから、絵からのおおざっぱな判断ですが、モラン・ソルニエN、ソッピース・スカウト、キャメル、スパッド13、ニューポール7、フェアリー・フライキャッチャー、などは鋼管ではなく異形材と見えます。フォッカーD7、D21、ブリストル・ブルドッグ、CR.32、CR.42、He51、グロスター・グラジエーター、MS406、Yak3、Yak9、が主として鋼管。
S.E.5、ホーカー・フューリイ、カーチス・P−6E、ホークIII、アビアB.534、は混合のようです。
自動車時代から慣れた鋼管・・・というのは無理があるような気がします。
時代が下るにつれ鋼管が増えるからには理由があるはずですが、組み方がラーメンだったり、三角のラーメン/固定したトラスだったりしますから、簡単ではなさそうです。
「当時どう考えられていたのか」についてますます知りたくなってまいりました。
六
- 六殿、
失礼ながら少し考え違いをなさっているのでは無いでしょうか。間違っていたら謝りますが、これこそ正解とされる考えが当時あったはずと思いこんでおられる様に感じます。
個々の設計者が、それぞれの条件下で「最適」と考えた結果が現れただけです。現実の制約から理想の「正解」を諦めて次善の方針を採用した場合も多いでしょう。
引用されているサイトも、建築という特定分野の初心者向けに「傾向」を示しているだけで、絶対確実な「正解」を示している訳ではないと思います。
なお建築の分野で申しますと、三次元的に組み立てる立体トラス、殊に曲面トラスの場合、特殊な接続金具を用いない限り、材は鋼管一択にならざるを得ません。一本の桁材に角度がバラバラの複数材を取り付けるのはパイプ材以外では困難です。費用と手間が大きくなりすぎます。
タンジェント
- 「正解があった」と思ってはおりません。ただ、翼型でいえば、薄翼→厚翼→薄翼→層流翼という流れがあるように、その時代時代の企図や狙いがあったのではないか、それが知りたい、とは思っています。
その後もつらつら考えるに、胴体内部の張り線を多用しトラスを組み、フレーム部材には曲げ強度でなく圧縮強度を求めるようになったゆえの鋼管かなあとも思ったりしますが、その割にはピン接合でなく溶接している例も少なからずあり(ガタピシがいやな気持は判りますが)、もやもやしています。
建築分野のトラスですが、画像検索するとたくさん鋼管以外の実例があるように思うのですが。
六
- B-36の中央胴体がトラスですね。世傑の記述に拠れば、
与圧されるモノコックの機首と機尾の間を、断面を見た時に菱形(・長方形・正方形)の頂点となる位置に取り付けた四本の竜骨で繋ぎ、
爆弾倉の扉として開かなければいけない下面以外の上面・側面をトラスで補強してます。
世傑には書いてませんが、このキール・トラスは鋼管では無く、ジュラルミンの山型材・H形材の類でしょう。材は異なりますが東京タワーと同様の構造では無いでしょうか。
にも。