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一般的に水冷レシプロエンジンは空冷より被弾に強いですが 何故ソ連は全機種の中でも最も被弾の機会が多いであろう地上攻撃機、Il-2やIl-10の開発時に空冷エンジンを選ばず 「水冷エンジンを重装甲で覆って対処する」という妥協的な解決をしたのでしょうか? Il-2開発時は碌な空冷エンジンが無かったため、馬力最優先でAM-38を使うしかなかったからかもしれません 空冷換装の例が皆無というわけでもなく、Il-2にはASh-82(M-82)に換装したIl-2 M-82という派生型があるようですが ミスマッチのせいかASh-82の性能自体が低かったせいか、飛行性能の悪化が大きすぎたため少数生産に終わったそうです しかしIl-10が開発された大戦後期には、ASh-82FNのような馬力では負けない優秀な空冷エンジンが出てきており 「大型単発機に使える大馬力のエンジンは水冷しか選択肢が無い」という状況ではなかったはずです にもかかわらず、Il-10でも再び水冷エンジンを選んだのは何故なのでしょう? カタカナ提督 |
- 一行目
×水冷レシプロエンジンは空冷より被弾に強い
○水冷レシプロエンジンは空冷より被弾に弱い
の間違いです
Il-10の後継機Il-20の存在を今しがた知りましたが、これも液冷エンジンですね
エンジンが無装甲のP-51とP-47のようなときだけ差が出て、エンジン周りを重装甲で包むのであれば
空冷と液冷の被弾に対する安全性の違いはあってないようなもの、ということなのでしょうか
カタカナ提督
- Il-2 M-82が生産されなかったのは以下のような理由です。
・AM-38に問題が起きたときのバックアップとしてM-82搭載型が用意されたが、AM-38に実用上問題はなかった。
・M-82がラヴォチキン戦闘機に必要とされた。
・液冷のほうが前下方視界が良い。
超音速
- Ash-82FNは離昇1750hpですが、Il-10が搭載した液冷のAM-42も離昇2000hpまで発展しています。空冷で2000hpのシュベツォフM-71は問題が多く生産されませんでした。
なお燃料噴射式のAsh-82FNは生産数が限られていて、搭載するLa-5FNと従来型M-82搭載のLa-5Fが並行して生産される状況でした。他機が採用する余裕はなかったと思われます。
Il-20は下方視界を重視してエンジンの真上に操縦席が位置する奇抜な配置となりましたので、空冷の選択肢はなさそうですね。
超音速
- >エンジンが無装甲のP-51とP-47のようなときだけ差が出て、エンジン周りを重装甲で包むのであれば空冷と液冷の被弾に対する安全性の違いはあってないようなもの、ということなのでしょうか
そういう見方も正しいと思います。
Il-2 M-82やM-71搭載型もカウリング下面を装甲化する予定でした。
いっぽうドイツ機のほうも液冷のJu87はD-3以降エンジン下方・ラジエーター・配管類などを装甲で守っていますが、同様にFw190Fの空冷エンジンも装甲で防護されています。
やはり地上攻撃機には空冷・液冷にかかわらずエンジン周りの防弾が必須であると言うことだと思います。
特にIl-2や10はラジエーターを胴体内に収容しているため、それほど空冷と被弾に対する強さは変わらないかもしれません。
超音速
- 申し訳ありませんが抑設問がおかしいですね。
発動機を液冷から「被弾に強い」空冷に改めたが防弾を施さないのと、
「被弾に弱い」液冷発動機に十全な防弾を施すのと、
何方が「妥協的な解決」か。
ADスカイレーダーやF4U-6→AUコルセアは戦闘機と同じ単発単座の空冷機ですが、対地攻撃用途に供する為に発動機の下面を装甲で覆っており
更にAUコルセアでは被弾しにくい胴体内の空間(元々高空を飛ぶ為の二段過給器とインタークーラーの有った位置)に滑油冷却器を移しています。
空冷星形に較べ重いが、容積特に前面面積を小さく出来、シリンダーブロックとラジエーターの位置関係を独立して設定できる液冷列型は
バイタルパート全体を構造体も兼ねた装甲で覆うというil-2/il-10のコンセプトに適合しているのです。
にも。
- 以前の質問でBUN氏が答えた所に拠れば朝鮮で近接支援に従事したP-51とP-47との間で損失率に有意な差が無かったそうです。
之を一般論として敷衍していいかどうかは私にも躊躇がありますが、参考として。
にも。
- >6.
にも。さん
1142番の回答29ですね。
F-51とF4Uの間違いではないですか。
超音速
- BUN氏のtwitterで朝鮮に行ったF-47装備の航空団が一つだけあって、と勘違いしてました。
BUN氏のtwilogで覧られる呟きは勉強になります。
にも。
- お二方、ありがとうございました
液冷であっても装甲を施しラジエーターを内装式にしていれば脆弱性は特に問題にならず
加えてIl-10の開発時もソ連にはAM-42に匹敵してかつ数を確保出来る空冷エンジンが無かった、ということですね
カタカナ提督
- いや装甲板を突き破られる可能性は在るのだから空冷の方がより良いでしょう、馬力と取得性を確保出来るなら。様は枝葉でしかないという事です。
根本的な事を云えば、赤軍→ソ連軍自身が「襲撃機」という機種種別を今後も維持すべきか迷っていたであろうことです。
BUN氏の「いろいろクドい話」に書かれているように、襲撃機の起源はWW!独逸の装甲攻撃機ですが、協商国は空対空戦闘に用いる様作られた単発単座機を前線攻撃に用い
戦前に各国で開発された単発の前線攻撃機はWW"の進行とともに英米のみならず独でも第二線に下げられ、空対空戦闘に用いる機体を前線攻撃に使う事が主流になりました。
飛んで、戦後の大量報復戦略の時期にフルチチョフはソ連軍のドクトリンを「核による電撃戦」に変えましたが、
この軍制改革が火力主義を排し軍事費を減らす目的で為された事もあり、攻撃機の通常兵器による前線攻撃は核兵器によるそれのついでとなり、ほぼ廃されてしまいます。
Su-25の様な機体は襲撃機の伝統が一旦絶えた所から生まれたのです。
にも。