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WW2の終り頃からレシプロ機で前輪式降着装置を採用した機体が増えていますが、この理由は何ですか? 前輪式のメリットは理解しているつもりですが、デメリットもありますし尾輪式にもそれなりのメリットはあります。 エンジン出力が向上して前輪の重量がデメリットとしては小さくなったのはわかりますが、それだけでは尾輪式のメリットを否定するには弱い気がします(AD-1は尾輪式ですし)。 この時期に前輪式の採用を促すきっかけとなるような論文でもあったのですか? おうる |
- 尾輪式のメリットは複葉機時代のもので、全金属製単葉機でエンジンが機首に付いていない機体を尾輪式にするのは、経路の慣性です。しかし単発機については、プロペラに加え機体規模に比して大きく重い大出力レシプロエンジンを機首に付けるレイアウトが定型で、重量が機首に偏るこのレイアウトを前輪式にするのは困難です。急いで設計されたダグラスADが典型ですが、定型のレイアウト故の、他のレイアウトに比して厚いノウハウを踏まえる事で、尾輪式の逓減した利点を活かし増大する欠点を凌げると判断されたのでしょう。
にも。
- >WW2の終り頃からレシプロ機で前輪式降着装置を採用した機体が増えています
1930年代後半つまりWW2が始まる前から、多発機はその経験を最も積んだアメリカを中心に続々前輪式に切り替わってます。そしてWW2中の大出力単発機で唯一前輪式だったP-39/P-63はミッドシップ、つまりジェット戦闘機で主流となる配置法を取っています。T-28など戦後の練習機が先ず前輪式である事を求められる事は云うまでも無し
にも。
- 3車輪式のA-20が1939年に米陸軍航空隊で採用されて以降、WWII前までにはすでにいくつもの3車輪式の機種が登場したというのは常連さんのおうる様なら当然知っておられるでしょうから、お題には前提条件があるような気がしますが。
おそらく単発機でとか艦載機でとかの話だと思いましたが、違うのですか?
超音速
- >>3
言葉が足らず失礼しました。
おっしゃる通り単発艦上機の話です。
おうる
- 機首にプロペラとレシプロエンジンを積んだ定型の単発機で考えます。
・前輪の付け根を防火壁より前には置けない。前輪より前に機体質量の大きな割合が来る。
・着艦の際、フックをワイヤーに掛けて一気に機体を停止させるので前への転倒や操舵の不具合を気にする必要が少ない。尾部を下げて着艦する尾輪式ならば、尾部の小さい穴からフックの先端だけ出しても用が足りるので空力でも構造でも有利。(XFL-1エアラボニタでは態々尾輪式にしています)
・そもそもレシプロ機の先が見えている。遠からずタービンに移行するならばレシプロの特に単発機は運用ノウハウを積んだ定型の尾輪式で済ませるのが無難
にも。
- おうる様のいう3車輪式の艦上機は、XSB2D/BTDデストロイヤー、XTB2Dスカイパイレート、双発ですがF7Fタイガーキャットといった機体ですよね。
3車輪式の利害長短については既に述べられていますので、ご存知と思いますが呼び水のつもりで米海軍の3車輪式艦上機について系統立てて説明したいと思います。
1938年、米海軍はノースロップBT-1(SBDの原型)1機に固定式の前脚を取り付けたBT-1Sという改造機を作り、空母からの離着艦を含む3車輪式のテストが行なわれました。その結果、3車輪式の利点が空母上でも有効だという感触を得たようです。
この経験からXSB2Dは当初から3車輪式を要求されて試作発注されます。大型空母(エセックス級)と大型エンジン(R-3350)が使えるようになったから、3車輪式の豪華な機体を作りたい!と海軍が欲張ったようです。このほかリモコン銃塔・爆弾倉を持つ豪華な機体のせいで重くなりすぎ完成も遅れ、性能も不満足な物に終わります。
これに懲りたか、それとも開発を急いだのか海軍は次の単座艦攻の試作発注のときには3車輪式の要求を引っ込めます。このあたりの経緯は1091の大塚先生のスレで述べられています。
このため競作に応じたマーチンBTM、カイザー・フリートウィングXBTK、カーチスXBTCは皆尾輪式で、ダグラスは初めXSB2Dを単座化したBTDを出したものの、これでは性能的に他機に負けてしまうため尾輪式で一からやりなおしたものがBT2D、のちのADです。
XSB2Dで懲りたのかと思いきや、またしても大型空母(ミッドウェー級)と大型エンジン(R-4360)で3車輪式・リモコン銃塔をもつ豪華なXTB2Dスカイパイレートが作られ、結局終戦のため不採用となります。
BT-1Sの経験によりダグラス(ノースロップから引き継いだエルセガンド事業部)が3車輪式単発艦上機の系譜を作ってきましたが、結局実らなかったことになります。
いっぽうでグラマンF7Fが成功したことで、S-2/C-1/E-1へとグラマン3車輪式双発艦上機の系譜ができます。
F7Fと一緒にノースアメリカンPBJが空母シャングリラで艦上運用試験を受けますが、これものちにノースアメリカンがAJサヴェージを作る際の、3車輪式双発艦上機の経験を得たと思います。
超音速
- 三車輪式とは尾輪式の別称ですよ。前輪式と取り違えていますよ。
Tokyo-Rose
- >7
むしろ、前輪が1脚である方式の別称であるように思っております。
こころみに3車輪式降着装置、3車輪式、Tricycle gearで画像検索をしても、尾輪式のものはほとんど出てまいりません。
どのような根拠で仰られているのが、お示し戴ければ幸いです。
hush
- 時代が変われば指している言葉の意味も違ってくるということですわね。
今はそちらが主流であればそれで問題ないですし、良く調べなかったこちらのミスです。
超音波さん、申し訳ございませんでした。
hushさんご指摘ありがとうございました。
以後、現代の通称をしっかり勉強するようにいたしますね。
Tokyo-Rose
- >>7-9
日本語で「三輪式」もしくはそれに類する用語は市民権を得ているのでしょうか?
(「tricycle landing gear」が前輪式なのは、現代では以下より確定ですが。)
現在での情報になりますが、
JIS W0106では
・「前輪式着陸装置:nose-wheel landing gear / tricycle landing gear」
・「尾輪式着陸装置:tail-wheel landing gear」
という用語が用いられており、「三輪式」という用語は見あたりませんでした。
http://www.jisc.go.jp/app/pager?id=2681768
JALの航空実用辞典には、
「輸送機の多くは主脚2個と前脚1個の三輪式であるが,」という表現がありますが、この「三輪式」は単に脚が3個あるという意味にとれます。
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p098.html
日本語の「三輪式」とは関係ありませんが、FAAの資料では以下となります。
「Airplanes with conventional landing gear are sometimes referred to as tailwheel airplanes. When the third wheel is located on the nose, it is called a nosewheel, and the design is referred to as a tricycle gear. 」
http://www.faa.gov/regulations_policies/handbooks_manuals/aviation/pilot_handbook/media/PHAK%20-%20Chapter%2002.pdf
太助
- >>10
ひとつ目のリンクは無効なものです。
失礼しました。
原文を確認する場合はJISホームページから該当番号を入力して下さい。
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html
太助
- 太助さんがお思い?のように、「市民権」は得ていないでしょう。
ご推察?のように(メインギアに対して)テイルギア(尾輪型)(式?)かノーズギア(前輪型)で区別するのが普通です。
航空関係者の方に「三輪式」と言っても、頭の中が「???」になると思います。
当たり前ですが、機体の重心は車輪間の内側にあります。
幼児が乗る三輪車を、逆方向に、前から押してバックさせると非常に不安定です。これと同じで尾輪型の滑走時の方向安定性は負です。操縦が難しいです。大馬力ならなおさらです。
ソフトフィールド(非舗装)の滑走路に強いというメリットくらいじゃないでしょうか。
ちょん太
- いつも参考に使う世傑や過去ログでは前輪式とともに三車輪式の用語も普通に用いられています。いまさら三車輪式の用語は普通ではないといわれても困惑します。
ただし現代の航空機は尾輪式はほぼ皆無のため特に三車輪式と断らないため一般的な用語でなくなってくるかもしれませんが。
本スレッドのような大戦前後の航空機という文脈で三車輪式の用語を用いているというのをご理解いただきたいと思います。
超音速