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スウェーデンのサーブ35ドラケンは、wikipedeiaにも "飛行安定性に難がありスーパーストール(縦スピン)癖が強く、フライ・バイ・ワイヤの補助がなかった時代も相俟って、パイロットには高い技量が求められた。" とあるように、不安定で急な機首上げもあり操縦が難しい機体という認識でしたが、この動画を見て大変驚きました。 https://www.youtube.com/watch?v=jqiDEcfSnXs 1分50秒あたりから、まるでSU−27のような機動をおこなって制御できていますよね。 フライバイワイヤも無いのに、急な機首上げを起こす癖を機動に応用してちゃんと制御しているパイロットも大したものですが、やはり熟練者でしょうか? ドラケンにこんな機動ができるとは知りませんでした。 これがダブルデルタ形式によるものだとしたら、大型のストレーキがある機体は同様の機動が可能なのではないかと思ったのですが、どうなのでしょうか? また、急な機首上げを起こす癖がある他の機体もパイロット次第で同様に制御したり機動に応用したりできるものですか?(F−101はそのままディープストールかな?) た−ぼふぁん |
- 追加で質問させていただきます。
以前F−101の事で質問させていただいた時に
"迎え角が大きくなると後退翼は外翼から失速し、内翼は揚力が残るため空力中心が前方に移動することでピッチアップを起こし、主翼後流が尾翼全体を押し下げることになりさらにピッチアップします。"
というご回答を超音速さまからいただきましたが、ドラケンの場合もおなじ原理でしょうか?
ドラケンの場合、この"内翼"がストレーキ部分と考えると、このピッチアップの傾向は通常の後退翼の機体よりますます強くなると思うのですが、そうなるとやはり他の大型ストレーキを持つ機体も同様の癖があると考えて良いのですかね?
でも私は今のところ、F−5EやFA−18Eなどが同様の機動をおこなっているのを見たことがありません。
単に私が知らないだけかもしれませんが。
たーぼふぁん
- スウェーディッシュ・コブラ・マニューバですか。凄いですね。僕もはじめて見ました。
僕が思うに、この現象はダブルデルタ翼に由来して起きるのではなく、
ドラケンのキツい後退角とテーパー比が要因ではないでしょうか?
ダブルデルタ翼という形式そのものは、逆にむしろ失速特性を改善する方向に働いていると思います。
内翼部分から発生する渦が外翼部の気流の剥離を抑えるからです。
まず、一般的にテーパー比が大きい翼は翼端失速を起こしやすいですが、
ドラケンの翼は非常にテーパー比が大きいものです。
つまりドラケンは、翼端失速を起こしやすい機体という事でしょう。
そして、ドラケンの主翼後退角は非常にキツいものです。
外翼部から失速が始まると、揚力発生面の中心位置は激しく前進するでしょう。
しかもドラケンの場合、真っ先に失速する外翼部が水平尾翼としての役割(風見安定を得る)も兼務している訳ですから
ここが失速すると相乗効果で凄まじい機首上げを起こすでしょう。
つまり、それがあのスーパーストールの正体なのでしょう。
そしてスーパーストールによって最終的には機体全体が失速すると風見効果により勝手に水平飛行状態に戻る。
以上のように推測するのですが、このスーパーストールの発生と回復は、
操縦者が意識してコントロールしているというよりも、
機体の特性により勝手にそうなってしまうんじゃないかと思います。
みいつ
- みいつ様>
ご回答いただきありがとうございます!
なるほど〜そういう事ですか。
でも気になったのですが、
"そしてスーパーストールによって最終的には機体全体が失速すると風見効果により勝手に水平飛行状態に戻る。"
との事ですが、勝手に水平に戻るのでしたら、むしろ安全な飛行機という事になりませんか?
wikipediaには
”飛行安定性に難がありスーパーストール(縦スピン)癖が強く、フライ・バイ・ワイヤの補助がなかった時代も相俟って、パイロットには高い技量が求められた。”
とありますし、実際にドラケンは不安定さに起因する事故が多かったようですが、それはまた別に要因があるのでしょうか?
たーぼふぁん
- wikipediaの英語版には、「Although the J 35 Draken was not designed to be a dog-fighter, it proved to have a good quick-turn capability and was a capable fighter plane.」などとあって、運動性がよいとされています。
スウェーデン語版では、飛行10万時間あたりの事故率がスウェーデンでは15.5、デンマーク6.2、フィンランド1.4となっていて、用法によって事故率が変わっている感じはありますね。ですが、普通に飛ばしてる中でとんでもなく事故るというわけではなさそうな感じでもあります。
片
- Wikipedia引用の「飛行安定性〜高い技量が求められた」の記述は間違ってないと思います。
世界の傑作機No.77サーブ35ドラケンには、スウェーデン空軍教官の執筆した解説が掲載されています。
読んだ印象では、操縦には細心の注意が必要で、安全な飛行機では決してなさそうです。スーパーストールからの回復法も書いてありますが、「スーパーストールを甘く見てはいけない」とあり回復は簡単ではないようです。動画のスウェーディッシュ・コブラについても記述があります。
事故については、迎撃戦術の関係でスウェーデン空軍では1980年代初めに大事故が目立ち、その結果空軍全体に「引き締め」が行なわれた結果、80年代後半から90年代初めにかけて事態は落ち着いた、ということです。
詳しく知りたいのであれば本を購入してください。
超音速
- >2.
一般的にテーパー比が大きい翼は翼端失速を起こしやすい
それは違うのではないでしょうか。
「デルタ翼のテーパー比」とは、何を何で割り算したものでしょうか。
だいたい、デルタ翼と直線翼とでは、揚力を発生させる理屈が、かなり異なります。
じゃま
折り紙で紙ヒコーキをつくると、かんたんに飛ばせるでしょう。
あれはデルタ翼になっているからです。
じゃま
- >>一般的にテーパー比が大きい翼は翼端失速を起こしやすい
>それは違うのではないでしょうか。
手持ちの本や、多くのウェブサイトには、
テーパーをキツくしすぎると翼端部分の揚力係数が高くなり翼端失速を起こしやすくなる・・・等と書かれてあり、
例に挙げれば次のような感じです。
http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p051.html#03-01
それらを見て、だからなるほど、テーパー比がキツイと翼端失速を起こしやすいものなんだと思っていた所です。
しかし、じゃまさんの指摘を受けて、それは僕の勘違いなんじゃないかと考え始めました。
テーパー比そのものではなく、テーパーの角度(前縁と後縁のなす角度)の方が重要だという事でしょうか。
だとすれば、上記のリンク先ではモロに「テーパー比の大きい翼では翼端失速を起こしやすい。」(抜粋)とありますが、
これは「同アスペクト比ならば」という前提で書かれているなら筋が通ります。
考えすぎでしょうか。
>だいたい、デルタ翼と直線翼とでは、揚力を発生させる理屈が、かなり異なります。
それは、デルタ翼では主翼前縁から翼端渦が発生する事と関係ありますか?
みいつ
- ■テーパー比の件
テーパー比=翼端の翼弦長÷機体中心の翼弦長
リンク先のとおりですね。
すみませんです。
それで、デルタ翼では翼端の翼弦長=0なので、テーパー比はゼロで、「テーパー比」を論じるのは、あまり関係ないかも知れないと思います。
■デルタ翼の件
「デルタ翼」とは、翼後縁が機軸と90°の翼を指すではないかと思います。
■翼端渦の件
デルタ翼では、前縁で発生した渦が主翼に広がって揚力を生み出すのではないでしょうか。
直線翼や後退翼のように、翼のキャンバーで揚力が発生するのとは、違うのではないでしょうか。
デルタ翼の前縁で発生する渦は、剥離渦であって、直線翼や後退翼の翼端渦とは、成り立ちが違うのではないかと思います。
じゃま
- テーパー比の件ですが、
>デルタ翼では翼端の翼弦長=0なので、テーパー比はゼロで、「テーパー比」を論じるのは、あまり関係ないかも知れないと思います。
これは自分も同じ考えにいたりました。
実は最近、ラジコン飛行機を始めようかと考えており、
今回はデルタ翼について調べる良い機会になったと思い、感謝しています。
みいつ
- ラジコン、おもしろそうですね❗
じゃま
- 質問とは直接関係ないのでレスしないほうがいいかもしれませんが・・・翼端失速にはテーパー比も後退角もどちらも影響しますよ。
テーパー比が大きければ前進翼でも直線翼でも翼端失速(逆テーパーなら翌根失速)の発生要因となります。
翼断面形状が同じなら揚力の大きさは断面積にほぼ比例し、テーパー比が大きい翼は翼端と翼根で断面積が大きく異なるので渦が問題にならないような速度でも翼端と翼根の間に発生揚力の差を生じさせます。
この揚力の差が極端に大きくなって姿勢制御や飛行そのものに問題を発生させてしまう現象が翼端失速/翼根失速です。
主翼後退角を0にして二等辺三角形の主翼を作っても、主翼前縁を直線にして逆テーパー翼を作っても、前進翼を作っても、テーパー比が大きければ結局翼端失速は発生します。
だからデルタ翼の翼端失速傾向の要因としては前縁後退角によって発生する渦の存在よりも、翼形状(テーパー比)の方がよほど根本的と言えます。
渦の存在は翼端失速の傾向に拍車をかけはしますが、翼端失速の要因としては二次的なものです。
おうる
- >12.
>揚力の大きさは断面積にほぼ比例し
どこの断面積でしょうか。
>渦が問題にならないような
どこの渦でしょうか。
>この揚力の差が極端に大きくなって姿勢制御や飛行そのものに問題を発生させてしまう現象が翼端失速/翼根失速です
揚力の差は、失速の必要条件であって、十分条件ではないと思います。
揚力の差以外にも、原因は考えられます。
>デルタ翼の翼端失速傾向の要因としては前縁後退角によって発生する渦の存在よりも、翼形状(テーパー比)の方がよほど根本的と言えます
そうではないと思います。
そして、デルタ翼のテーパー比は、どのように決めますか。
>渦の存在は翼端失速の傾向に拍車をかけはしますが、翼端失速の要因としては二次的なものです
「渦」は、どこの渦ですか。
「二次的」と判断するのに用いたパラメータはなんでしょうか。
じゃま
- スレ違いにかきこんでしまいました。
デルタ翼って、単に平面形によって分類されているのでは、ありませんよね。クリップト・デルタ翼でも、同じアスペクト・レシオの後退翼よりも、迎え角・揚力増加比は、大分少なかったはずですが、理由はなんでしたっけ?また、デルタ翼の正確な定義をおしえてください。大きなストレーキがついていても、後退翼は迎え角を増すと、デルタ翼と異なり、同じアスペクト・レシオでも、迎え角・揚力増加が遥かに大きかったような・・・
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