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気になる事があります。 Fw190の試作型は、「ダクト式プロペラスピナー」なる、変わったスピナーを装着していますね。 あの吸気方法では冷却能力が不足していたようですが、 もしダクト式スピナーの開口面積をあそこまで絞らずに妥協して、 戦闘機以外の機種に採用していれば実用的だったのではないかと最近思うのです。 旋回戦で迎角を大きくとるような飛び方をしたり、迎撃任務で戦闘高度まで急上昇するような場合、あのダクトスピナー方式ではどうしても冷却効率に問題がでる事は理解できます。 戦闘機でなければ、基本的にそうした飛び方は求められません。 充分な速度と真正面からの安定した吸気ができれば。つまり攻撃機や偵察機のような機種に採用していれば、成功の余地はあったでしょうか。 皆さんの意見をお聞かせください。 よろしくお願いいたします。 (やはりFw190のダクト式スピナーは絞りすぎで、もう少し妥協して広げたほうが良いだろうとは思います) みいつ |
- 結論から言うとダクテッドスピナーを続けても性能向上はほとんどありません。
Fw190V1以外でダクテッドスピナーを使用した機種に、アラドAr240があります。この機は液冷エンジンで、環状ラジエーターを冷やすためにダクテッドスピナーを持っています。おなじくホーカー・テンペストでは環状ラジエーターの前に強制冷却ファンを置き、ダクテッドスピナーを備えた形式を試しています。
Fw190V1同様Ar240のダクテッドスピナーは非効率と判断され、改良型のAr440では通常のスピナーとなる方向だったようです。テンペストは試作だけで終わっていますが、機首が異様に大きく、見るからに視界が悪そうです。
星型空冷エンジンはカウリング前縁でプロペラ後流が当たり、そこで圧縮衝撃波が発生して大きな抵抗を生む、という理論が一時期の航空機設計者たちのあいだで世界的に知られています。対策としてカウリング前縁ラインをなだらかにすればよいとされ、各国でさまざまな形が考え出されています。ダクテッドスピナーもそのひとつですが、ほかに雷電や強風のそれが良く知られていますし、カーチスXP-42はまるで液冷エンジンのような外形に仕上げ、あるいは大径のスピナー装着という例がいくつかあります。エンジンの冷却不足というのは設計段階や風洞試験では意外とわからなかったりするもので、これらはことごとく冷却不足に陥り通常形式への回帰を強いられました。ところが速度はそれほど落ちなかっ
たりして、結局カウリング前縁の圧縮衝撃波云々という理論は過大評価であったことが判明します。
それでもダクテッドスピナーはわずかなりとも性能向上はあると言えばあるんでしょうが、プロペラスピナーというのは回転バランスを取るために精密に作る必要があり意外に高価な部品です。ダクテッドスピナーのような大径となるとなおさらです。費用対効果の面で非効率と言う結論になるでしょう。
超音速
- 回答ありがとうございます。
同様のスピナーを装備していた機体があったとは知りませんでした。
ダクテッドスピナーは結構いろんな国で試作されていたのですね。
延長軸を使って機首を絞る場合より振動は発生しにくいだろうと思ってましたが、スピナーの回転バランスは盲点でした。
これを疎かにすると異常振動につながるというのは、素人でも想像がつきます。
冷却能力はもちろん、量産性や前線での整備性なども含めた総合的な視点で見ると、あのスピナーは割に合わないということなのですね。
ありがとうございました。
重ねて御礼申し上げます。
みいつ
- Fw190のダクテッドスピナーは、低抵抗のはずが実際につくってみるとスピナーとカウリングの間に出来る隙間により抵抗がかえって大きくなり、採用されなかったとの話が最新のFw190本の一つであるCrecy PublishingのFockwulf Fw190にあります。冷却問題だけという訳ではないようです。
ケンジ