1038 大戦期の排気タービン過給器付レシプロエンジンは、なぜ機械式過給器を1段目に付けている物が多いのでしょうか?

いつもこちらで勉強させていただいています。
素人考えでは、エンジンの出力は全てプロペラに回し、過給は
排気タービン過給器に任せたほうが効率的なように思えます。
自動車の例では実際そうなっていることが多いですよね。
航空エンジンでそうなっていないのはどういう理由なのでしょうか?

1.排気タービンといえども、高高度での過給を一段ではこなせない

2.既存の設計に排気タービン過給器を追加したのでこうなった。1から新設計であれば機械式過給器を省く。

あたりを思いつきますが、他にもっと重要な理由があるような気がします。
ご存じであれば、ご教授いただければ幸いです。

また、小生の無知で、過給を排気タービン過給器のみで行っているエンジンがあるのであれば、紹介いただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。
道糞

  1. 排気タービンを通過する空気は、周囲から加熱されるので、密度が下がってしまう。

    第一段を排気タービンにすると、第二段の羽車は、初めから密度の低い空気を圧縮することになるので、肝心の空気の質量流量は、あまり大きくならない。

    順番を逆にした方が、たくさん空気を送れるのではないでしょうか。
    じゃま

  2. エンジンに関してはまだまだ勉強中なんですが、(というか永遠の素人)
    じゃまさん、そのためのインタークーラーでは。

    大戦中のレシプロエンジンは機械式過給器(以下SC)とエンジンはガッチリ組み込まれた設計になっていますので、2の理由で正解だと思います。
    しかし、SCとターボ過給器(以下TC)の間に設けられた中間冷却器は空気密度を上げることで後段のSCの負荷を減らす効果があるので、エンジン出力を食うというSCの欠点は最小限になっています。
    あくまでも原理のうえでの話ですが、TCのみのレシプロエンジンをいちから作るならば、エンジン側はそれ専門の設計としTCは2段式など巨大なものを使った大がかりな構成とすれば高高度でも高ブーストで回せるものができるでしょう。しかしTCはただでさえ給排気系統の配置の難しさがネックであり下手に配置すれば効率を悪くしてしまいます。過給システムだけで結構なスペースを食い、それにともなう重量増加もあります。このようなエンジンは設計が大変なわりに、効率はそれほど良くならないのです。
    とはいえライトR-3350ターボコンパウンドのような複雑な動力システムをつくるならば、SCのみの構成でエンジンを再設計してもよかったんじゃないかという気もします。
    現在、小型機用のライカミングやコンチネンタルなどの水平対向4気筒・6気筒エンジンの過給モデルは元の自然吸気エンジンにTCを追加したものですので、TCのみの単段です。


    超音速

  3. R-2800でも、V-1710でも、インタークーラーは、二段の圧縮の後ろなので、あれはアフタークーラーと言うほうが。
    じゃま

  4. >1.
    前段TC後段SCというのは自動車でいうツインチャージャーですね。
    超音速

  5. 違う、訂正。
    前段SC後段TCがツインチャージャーです。
    超音速

  6. レイアウトの問題は、超音速さんの言われるとおりだと思います。
    P-38、P-47、B-29、みんな、えらく苦労していますね。

    排気タービンでも何でも、単段の圧縮機で、圧力比を高くすることはできるんですよ。
    でも、そうすると、圧力より温度がどんどん高くなる。
    羽車のエネルギーが、圧力でなく、温度に変わるわりあいが大きくなるから。

    等エントロピ線に近いところで変化させたいのに、離れていく。
    圧縮機としての性能が下がる。

    だから、ちょっとずつ、小分けに圧縮していくのがいい。

    それを追求したのが、多段軸流圧縮機で、ジェットエンジンに使われますが、大きく重く、
    小型軽量の過給機には向いていない。

    遠心式を数段かさねる、というあたりに、落ち着いたのではないでしょうか。
    じゃま

  7. >3.
    英国のマーリンは機械式直結2段の後ろに吸気冷却器があり「アフタークーラー」と呼ぶべきでしょうが(しかし下記のイラストでは吸気冷却器の通称としてIntercoolerの用語が使われています)、Lockheed P-38(V-1710)もRepublic P-47(R-2800)も、吸気冷却器は一段目のターボと二段目の機械式の間にあるので、機能的にも「インタークーラー」でよいと思います。
    ttp://www.flightglobal.com/airspace/media/aeroenginespistoncutaways/images/5685/rolls-royce-merlin-supercharger-cutaway.jpg
    ttp://www.enginehistory.org/TM/V1N2P-38Ducting.jpg
    ttp://www.enginehistory.org/Installations/P-47.jpg

    とおりすがり

  8. いかん。2.も訂正だ。
    >SCのみの構成でエンジンを再設計してもよかったんじゃないか
    SC→TC
    超音速

  9. >7.
    ご紹介いただいたURLを拝見しましたが、インタークーラーが2つの過給機のあいだにあるようには見えないのですが。
    排気タービン過給機の後ろではないでしょうか。
    じゃま

  10. >9.
    ですからインタークーラーは排気タービン過給器の下流、エンジン直結の機械式過給器の上流にあります。P-47であれば下記の図面のようになります。
    ttp://rwebs.net/avhistory/images/_geturbo/ge_fig9.JPG

    とおりすがり

  11. なるほど、納得です!
    じゃま

  12. 色々情報を教えて下さり、ありがとうございます。小生の見逃していた、「重さ」というパラメータが重要なのですね。
    また、現代のレシプロエンジンでは、ターボ過給のみのものがあることも紹介頂き、勉強になりました。
    余談になりますが、「ターボコンパウンド」で探すうちにネイピア ノーマッドに行き着きました。前段軸流、後段圧縮の2段ターボ過給ディーゼルの機構図を見るに
    「ここまでやるなら、ディーゼルを省略してターボプロップにすれば」
    と感じました。当時開発に携わった方も同様に感じたのでしょうね。
    質問者

  13. 訂正です。
    誤:前段軸流、後段圧縮
    正:前段軸流、後段遠心
    ですね。
    質問者


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