860 |
極初期の遠心式のジェット・エンジンについて質問します。それはホイットルやオハインが製作したジェット・エンジンですが、Jumo004等の軸流式のエンジンに比べると、いずれも空気の流路が大きく蛇行しており、素人目には効率が悪そうに見えます。 実際、効率は悪かったのでしょうか。それとも、それ程では無かったのでしょうか。 二一斎 |
- 現代の戦闘機用などのジェットエンジンおよび旅客機用の大型ターボファンエンジンはすべて軸流式圧縮機のみですが、ビジネスジェットなどに使われる中小型ターボファンはほとんど軸流と遠心の組み合わせです。
ターボプロップ・ターボシャフトエンジンも、大半が軸流+遠心あるいは遠心のみですが、両者を比較しても性能的な優劣はまったくありません。
したがって遠心式はべつに効率が悪いわけではないです。直径が大きくなることと、大型化には向いていないというだけです。
遠心式を2段以上にすると配置上、圧力損失が大きくなるとされていますが、ハネウェルTPE331やLHTECのT800シリーズなど遠心2段のエンジンも存在します。
超音速
- 遠心式は、なんといっても作るのがかんたんで安くできるのですね。
だから、最初期のジェットエンジンは遠心式が多かった。
軸流は、ローターに何十本も翼を植えていくので設計製作ははるかに難しい。
しかし、遠心と軸流が、効率をガチで勝負したら、軸流が勝ちます。
5%は軸流の方が効率が高くできます。
効率というのは、断熱効率のことで、つぎこんだエネルギーのうち、圧力に変わる割合を指します。
効率が低いと空気の温度が上がるばかりで、圧力が高くならないです。
遠心式は開発期間が短く、低コストでできるので、商用機に多いのですね。
ある程度、価格を度外視できる軍用では圧倒的に軸流が多くなります。
じゃま
- ということは、ドイツは実用的にものは大してモノにならなかった軸流式より遠心式に力を入れれば、よかった気がします。もっと早くMe262などのジェット戦闘機を実用化できたんじゃないでしょうか。
半可通
- ドイツでは、HeS8は出力がどうしても大きくできなかったので、軸流式のBMWやJumoに賭けなければならなかったのかと思います。
でも遠心式がダメ、というわけではないですね。
とにかくジェット戦闘機が欲しいなら、He280が飛んでいたのは確かなので。
でも1930年代の技術水準なら、遠心式でも軸流式でも性能は似たようなものだったと思います。
軸流式がハッキリ優位にたつのは1950年代以降です。
1980年代にコンピュータで流体計算ができるようになると、遠心式が巻き返してどんどん性能が上がって、軸流式に迫ります。
じゃま
- 超音速様、じゃま様、半可通様、ご回答有難う御座います。レスが遅くなって本当に済みません。私はてっきり遠心式は古いタイプで、当然効率も悪いのだろうなと想像していました。
しかし、「中小型ターボファンはほとんど軸流と遠心の組み合わせ」、更に「コンピュータで流体計算ができるようになると、遠心式が巻き返してどんどん性能が上がって、軸流式に迫ります」という状況とのことで驚いております。
これからも、宜しく御願いします。
二一斎