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敵空母攻撃において艦上攻撃機や陸上攻撃機は雷装が多いように見えるのですが、それは何故水平爆撃が多用されなかったのでしょうか。 日本の航空母艦パーフェクトガイドによると、「飛龍」「蒼龍」「翔鶴」「瑞鶴」は艦上爆撃機主体で構成されていたが、編隊水平爆撃戦術の発達で敵空母に対する攻撃にも艦上攻撃機を差し向けるべきという意見が出た為、昭和14年度から艦上爆撃機と艦上攻撃機の搭載機数はバランスの取れた構成になったと書かれています。 ですが、太平洋戦争においては雷撃による敵空母攻撃が多く、編隊水平爆撃はほとんどしていないように思えます。 当初は水平爆撃で敵空母攻撃を考えていたものがいつ頃からどういった理由で雷撃主体に変化していったのでしょうか。 天ヶ崎 |
- 水平爆撃は編隊公算爆撃法であるために反復攻撃が必要です。
したがって、攻撃機会が限定的である場合には雷撃の方が有利です。
また、雷撃には急降下爆撃と同時異高度攻撃を行えるため、敵の注意と防御を分散させる効果が期待できます。
片
- 昭和14年度から搭載機の構成に変化が起きたというのは読み間違いです。
母艦の搭載標準が変わったということで、艦爆と艦攻は常に搭載されています。
空母攻撃用の空母が艦爆主体の構成になるのは日米共通の発想ですが、艦爆の運用には大きな制約があります。夜間や雲高が低い場合、急降下できないという問題です。
そこでより柔軟に運用できる攻撃機を搭載する方向に修正がかけられますが、鈍重な攻撃機による雷撃は年度の演習成績からも不安があり、新戦術としての編隊精密爆撃が注目されます。
そもそも日本の母艦航空隊は夜間攻撃が実施できる錬度に達したことは平時の演習年度末期でさえ一度もありません。
優秀な嚮導機の存在を前提とする編隊爆撃法にも同じような傾向があり、戦時の運用としては片さんがおっしゃるような艦爆との同時攻撃などで雷撃のやり方を工夫するようになります。
BUN
- ありがとうございます。
つまり、
編隊水平爆撃を行いたかったが優秀な嚮導機を用意できなさそう。だから戦時では雷撃出撃が多い。
鈍重な雷撃だけど、艦爆と共に同時異高度攻撃行えばなんとかなりそう。
という理解でよろしいのでしょうか。
天ヶ崎
- 別に「編隊水平爆撃を行いたかった」わけでなく、艦爆が使えない状況でも水平爆撃はできることから、手段の可能性としてそれも置かれていた、ということなのだと思います。
水平爆撃は、開戦時には、自由回避する動的に対し高度3000mならかなり命中率高く、4000mからでもそれなりの命中率をもって攻撃可能、とされていますが、これは、9機編隊の編隊公算爆撃で1弾命中できる可能性ということになります。しかし、それはもちろん100%ではないわけですから、空母一隻から攻撃機18機を飛ばしたとして、2発命中の期待ができない、ということにもなります。
こうした3000m4000mという高度は敵防御放火のうち機銃が到達し得ないと考えられており、その分、雷撃機よりも被弾率は低く見積もることがでる、というのが水平爆撃のメリットのひとつです。
しかし、その分を急降下爆撃の方で吸引させることができるなら、雷撃のリスクは低減させられるということなのです。
片
- 急降下爆撃は対空母攻撃用。
水平爆撃は対主力艦攻撃用。
しかし、先制攻撃を行いたいのに急降下爆撃が使えない条件もあり得る。
ここで水平爆撃は対空母攻撃用として使えるようにしておきたい。
以上が目論見。
結果として、急降下爆撃が使えない夜間の水平爆撃は練度不十分なまま。
急降下爆撃を使うことができる昼間の条件下では、水平爆撃の練度は一応十分なところまでたどり着いていた。
が、その場合、何がなんでも水平爆撃を繰り出さなければならない条件ではない。むしろ雷撃と急降下爆撃を併用したほうが有利とも考えられる。
というところでしょうか。
片