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零戦52型は翼端を詰める際、垂直に切る32型と異なり、円弧上に形成してあります。わざわざ円弧状に形成する性能上のメリットは何かあるのでしょうか? 備後ピート |
- 円弧状にした方が翼端渦による誘導抵抗を減少できます。
ねじり下げを適切に行えば端を切り落としたテーパー翼でも同等の空力特性は得られますが、そうすると翼の再設計に近くなるので端を丸めた方が手っ取り早かったでしょう。
わんける
- わんける様、早速のご回答ありがとうございます。翼端化渦による誘導抵抗が32型の航続距離の減少の一因になったことは以前、NHKテレビで見たことがあります。それの対処のためだったのですか。
いろいろ意見はあるとしても、私は零戦では52型が一番好きです。一番早いし、一番急降下できるし、カウリングの形とか、あたかも最初からそう設計されているような優美な翼端のカーヴとか、何度プラモを作ったか知れません。
備後ピート
- 航続距離の問題は三二型の主翼に翼内増槽を設置した機体で解決しています。五二型で伸びた訳ではありません。NHKの番組が元にした史料にもそんなことは何も書いてありません。
前後関係から言えば、二二型の完成以前に丸型翼端の図面は出ていますので、折畳部の廃止による11m幅主翼は五二型の形状で完成となる流れにあったようです。
BUN
- 話が主眼でなくすいません。
三二型は垂直に切断なんて乱暴な事はやっていません。
結構凝った溶接ラインで解る通り、限られた翼端幅の中で翼端形状が構成されています。
現物が確認できる大刀洗三二型のオリジナル翼端を是非観察してください。
NHKの実験なんて1枚の紙な様な物で実験していますから、あれこそ乱暴な垂直に切られた翼端もどきでしょう。
オリジナル形状も再現しないであんな乱暴な実験を放映して結論づけるとは、当時頑張った技術者様方が可哀相で仕方ありません。
私の思いを失礼致しました。
A6M232
- 垂直に切断というのは単なる言葉のあやではありませんか。ところで32型の翼端形状を決定するのに、21型の折りたたみ部をはずして断面部を32型のようにカバーした試験機などを造って飛行テストをしていなかったのでしょうか。当初の32型は速度上昇は期待ほどでなく航続力はかなり短くなったようですがどうなのでしょう。
モデラー
- NHKの番組での「実験」は本当に乱暴なモデルで行われたもので、零戦そのものの性能とは無関係です。真に受けた視聴者がかわいそうな内容でした。
三二型の角型翼端には計画途中から採用した百発弾倉を搭載したために生まれた翼下の膨らみによる速度低下を補う、という目的が含まれています。ですから折畳部を外したのではなく、折畳部を応急的に切断して成形して折り畳まずにいる、といった構造です。
その結果はほぼ満足され、航続力にも影響は出ていません。
BUN
- 同一の機体に翼端の形状の違う主翼を付けた時のデータがあれば、おもしろいのにと思った次第です。時間も予算も発想もなかったのでしょう。
モデラー
- 言葉のあやと言われれば目くじら立てる事でもないので、全くごもっともですから申し訳ありませんでした。
ただ切断と表現してもその先には苦慮して設計されたであろう、整形された翼端が付いていると言う事を御理解頂ければ幸いです。
私はNHKの間違ったイメージが定説になる事に、非常に残念に思っているだけですので他意はありません。
すいませんでした。
折畳部を外し量産型の三二型と同形状のカバー(翼端)を応急的付けた二一型は、片翼のみ北海道「倶知安風土館」に現存しています。
他に三二型に移行する為の補助翼の切断・改修・可動タブの廃止等の試験機と言える痕跡も複数残っている貴重な遺産です。
航続力の件ではよく話題とされるガダルの戦いですが、実際当時戦っておられた方は「前進基地ができたので問題なかった」「三二型は非常に良い型で好きだった」と今でも明快に答えて頂ける元搭乗員がいらっしゃいます。
NHKのあの番組がこの様な貴重な体験と、資料面でも現物・事実に沿った編集をした上で放映してくれていたらと残念に思います。
A6M232
- ↑すいません補足です。
現存する機体で「折畳部を外し・・・」と書いていますが、折畳の翼端を外しただけで主翼側の折畳機構は残っています。
A6M232
- 横から失礼します。ニセコアンヌプリから下ろされた零戦は「三二型試作一号機から三号機」のどれかの可能性が高いのではなかったでしょうか。いずれにせよ、翼端の工作は非常に丁寧だと感じました。
足軽零戦記者