431  日本陸軍機の急降下爆撃について質問します。これは424番の続きのようなものですが、急降下爆撃はBUN様からご教授いただいた様に「30ノットで逃げる航空母艦を狙うために広まった戦術で」あり、米海軍から始まったと認識しております。
 その後、日英海軍、独空軍が続いたようです。更に、日本陸軍も海軍或いは独空軍の影響を受けて急降下爆撃を取り入れたのではないかと考えました。
 そこで調べてみると、以下の3機種が急降下爆撃ができそうでした。
 九七式軽爆撃機(キ30)、九八式軽爆撃機(キ32)、九九式襲撃機(キ51)
 しかし、図面等を見ると、この3機種はいずれもダイブ・ブレーキがありません。といことは急降下爆撃はできないようです。そうなると、日本陸軍は(複葉機については知らないのですが、また大戦末期のキ119を別として)急降下爆撃を実施できる機体を持っていなかったことになると思いますが、どうなのでしょうか。

二一斎

  1. 九九式双発軽爆撃機が2型乙から急降下制動板を装備していて、60度程度の急降下爆撃が可能になったそうです。
    gk

  2. 陸軍の地上支援は超低空銃爆撃が基本です。これは第一次大戦中に極めて有効だったことから陸軍航空隊を母体として発達した各国空軍の基本戦術になっています。逆落としの急降下爆撃という戦法は空軍にとっては異質な特殊戦法で、ドイツ空軍内部でも従来の超低空銃爆撃との優劣が論じられている程です。
    従来から実施されていた緩い角度の降下爆撃で十分と考えられていたところにドイツ空軍の実績が報じられ、各国空軍に急降下爆撃法が流行するのですが、急に専用機種を開発できる訳でもなく、二線級戦闘機の改造転用(アメリカのA36)や海軍機の流用で間に合わせるうちに照準器の性能向上や搭載兵器の発展で陸軍のみならず海軍機にさえも逆落としの急降下の必要が無くなってしまう、という流れがあります。
    日本陸軍も専用機種なら単座の襲撃機で、と研究方針を改めますが、結局、海軍の中島十一試艦爆採用を検討し、十三試艦爆に興味を示した所で終わっています。
    ダイブブレーキ装備機=急降下爆撃機=本格的という先入観を捨てて眺めるとなかなかに合理的判断だったのではないでしょうか。
    BUN

  3. 急降下の定義にもよりますが。
    古い2機種は除いて九九襲撃機の場合。
    その性格上もともとピンポイントの爆撃が要求されていたわけで、翼下搭載の50`爆弾4発を使用して50〜60度程度の急降下爆撃を行っています。
    戦争後期になり、250`爆弾を使用しての急降下爆撃が要求された時に問題になったのはダイブブレーキではなく、胴体下の爆弾投下腕の欠如でした。
    19年にテストが行われ、その結果60度までは、投下爆弾がプロペラに接触することなく投弾可能と言う結論が得られたそうです。
    27戦隊史より。
    わんために

  4. 過去ログ3334に、似たような質問が有りますので、そちらもご覧に成ってみてはいかがですか。
    He113

  5. 陸軍では急降下爆撃機を「攻撃機」として区分していました。
    この機種は13年7月陸軍航空兵器研究方針で出現し、これに即して計画されたのは、まず中島キ52でした。海軍中島十一試特爆の陸軍用ですが、そもそも海軍型がうまく成立しなかったこともあり、陸軍は川崎キ66を「垂直降下機」として計画しますが、これも途中で中止されています。キ48IIへの急降下爆撃能力付加も、こうした流れの上にあるのではないかと思います。




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