422 いつもお世話になっております。久しぶりに質問します。
太平洋戦争前の日本海軍軍用機は空母機であれば飛行時間100時間、基地機なら150時間で前線から下げられるのが原則だったが、開戦後は陸海軍とも機体を300時間を超えて使用される例が多くなり問題となった。そのため昭和18年に空技廠で飛行時間300時間超の九九式艦爆一一型が振動試験に供された。
というところまで手持ち資料で把握したのですけども、この試験で機体の強度がどのくらい低下していたのがわかったか、試験の結果軍用機の運用に変化があったのかというところが知りたいです。
ご存知の方おられましたらお願いします。
超音速複葉機

  1. 今手元にその原史料が無いんですが、もうちょっと飛行時間が長かったような気がします。
    300時間を超えて問題となったのはもともと機体強度に問題を抱えて空中分解事故を繰り返し、改修を続けていた開戦半年後の一式戦闘機一型です。
    基準となる飛行時間は機種によって様々ですから、激しい機動を伴う戦闘機の場合はより短時間で前線から下げますが、中攻あたりだと1000時間でもまだ直して使います。
    振動試験の結果では特に問題は指摘されなかったはずですが、その後の運用も基本的に変わりません。試験後も内地で訓練中の戦闘機隊から「100時間超えの機体ばかりで前線に出られない」と報告されているからです。

    BUN

  2. 回答ありがとうございます。
    民間の輸送機だとレシプロ単発機でも5000飛行時間にわたる使われ方が珍しくないので、高G機動を行う戦闘機や艦爆は短寿命なのだろうと想像はしていました。
    くだんの試験が行われたのは現場の不安に応えるためだったと理解してもいいのでしょうか?しかし試験後も不安が続いているということは空技廠の報告が現場まで通達されなかったのでしょうか?
    超音速複葉機

  3. 「不安を訴えた」と受け取られたならそれは私の説明不足でした。
    300時間超えで不安があったのは補強を繰り返し、根本対策を二型で行う予定だった陸軍の一式戦闘機の方ですから一緒にはできません。

    もともと機体と発動機には整備を行うサイクルが決まっていましたから、その基準が変更されていないだけのことです。
    300時間という飛行時間は戦闘機であっても活発に使えば平時でさえ一年ほどで飛んでしまうもので、機体の更新予算もそれに合わせて計上されています。
    どの戦闘機も100時間以上飛んでいるから前線進出前に更新してくれ、という要求は機体の老朽化による危険もさることながら、戦闘に参加して間もなくほぼ全機に大規模な整備点検作業が控えていては現場として仕事にならないからです。
    BUN

  4. 追加質問にお付き合いいただき恐縮です。つまり振動試験の結果に問題は見つからなかったから、現行の運用基準も変更の必要なしという結論になったわけですね。

    勉強になります。
    超音速複葉機

  5. 「相当使い込まれた機体が出て来たけれども、大きな問題は無かった。だからといってそれに合わせて基準を大幅に変える訳ではない」
    といった感じです。
    BUN

  6. BUNさま丁寧な解説ありがとうございました。
    超音速複葉機


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