416 WWII時の日本海軍機の計器について質問です。何卒宜しくお願いします。

海面すれすれを飛ぶ訓練を頻繁に行った機体の計器は、内部に塩害を起こす可能性が在るのでしょうか?
一例で吸入圧力計の文字盤が塩害による腐食と思われる現物が存在するのです。
もしそうであればその圧力計のガラスはゴムパッキンにて完全密封されていますので、計器につながれた管からの流入しかないと思われます。

構造も不勉強な素人で申し訳ないのですが、吸入圧力計は外気が文字盤にまで流入する構造なのか?、そうであれば文字盤等にまで塩害の可能性は在るのかが知りたい訳です。
(吸入圧力計のガラスは他の計器に比べて分厚いので、もしかして計器内部に圧力が掛る構造なのかな?と素人ながらに考えた訳も在ります)
A6M232

  1. 外気圧を計測する機器は、全て、環境に曝露されています。ですが、吸入圧力計というのは発動機の吸気圧を計測していますよね?

    これの場合、外気圧と吸気圧の差圧をみているので、構造的には計器内部はともかく、計器のガラスまで塩害が及ぶことは考えにくい。

    むしろ、ゴムパッキン劣化による文字盤側からの塩害腐食のほうが、WWII期の日本機では可能性が高いでしょう。また、現物という
    のは、実動機の機体に取り付けられたままのものを、そのまま外して厳重保管されていたのでしょうか? 終戦後に破壊された機体から
    GI等が記念に外して持ち帰ったようなものなら、横空あたりで野ざらしにされていた機体のものかも。それなら外部からの塩害腐食
    の可能性が高いと思います。
    TOSHI!!

  2. TOSHI!!さん、お答えありがとうございます。
    現物は墜落機の物で直後に回収され保管されていた物です。
    計器は沢山見る機会が在り分解もそれなにりしてきているのですが、外観の程度良さと文字盤の程度の悪さのギャップが酷い計器は見た事が無かったからです。(その逆はよく在ります)
    文字盤が塩害を受けていたから戦後の60有余年の間に内部だけ腐食したのかな?と考えた訳ですが、計器構造等全く不勉強ですから可能性に疑問を持ちました。
    ガラス面のパッキンは当時物でも良好であったと私は思います、劣化で緩んでもすぐ締めこめる構造で密閉性があります。(吸入圧力計で言えば水没すると浸水する例とそうでない例が在るようです。)

    塩害を受ける構造でなければ海水に水没後、蓋を外して洗浄した可能性が高いのかなとも考えています。
    A6M232

  3. たぶん、なのですが、ガラスの内側計器内部は気密室になっており外気とは直接接しない構造になっていて、文字盤も機密室内に封入されているはずです。
    大気圧補正用の外気や、気化器のガス圧は、機密室内部にある空盒が受けるようになっており、その外側の気密室には漏れないように出来ているはず、と思います。


  4. 片さん、ありがとうございます。
    計器の裏側接続部のパッキンの存在を確認し片さん言われるよう気密室と考える事ができました。
    当時計器資料のこの一文をよく理解すれば判ったことですね。すいませんでした。
    気密筐内ニ真空ノ空盒ヲ有シ筐内ト発動機吸入筐トヲ接續シ吸入筐内ノ圧力ヲ大気圧ヲ零トシテ表示ス
    となると水没物で海水の流入と考えると、TOSHI!!さん言われた通りガラスパッキン部からか裏の接続部からですね。
    回収後蓋を外し洗浄して、塩抜きが不十分で蓋をしたと仮定すれば、内外部の程度違いが理解できます。
    塩分の残留判定をすればほぼ確定出来そうです。

    ただ疑問は裏の接続金具を外したところ塩分らしき痕跡・腐食が無い事です・・・
    もうこうなると保管か衝撃?の問題かもしれません?、何しろ塩分分析する方法を考える事が先決ですね。
    TOSHI!!さん、片さん、ご回答ありがとうございました。
    A6M232

  5. 吸入圧力計(ブースト計)は、外気圧と吸気圧の差圧をみているのではありません。
    吸入圧力そのものを計測しています。

    表示は1気圧に対して高いか低いか、即ちプラスブーストかマイナスブーストかで表示しているのが大多数だとおもいます。

    可変ピッチプロペラ装備でパワーを回転数とブーストでコントロールするレシプロ小型行機では、吸入圧力計は必須です。

    吸入圧力計は、基準となる圧力の「真空ノ空盒」とエンジンの吸気マニホールドから細いパイプで導いた吸気圧のかかっている「空盒」とで、言わば綱引きをさせて、その言わば綱の移動をラックエンドピニオンなどを介して、指針を回転させています。

    現在一般的に使われている吸入圧力計は、このように、計器の中に「真空ノ空盒」と吸気圧のかかっている「空盒」との二つの「空盒」があるようです。(←日本航空技術協会 航空計器p56)

    しかし原理的には、基準となる圧力の「真空ノ空盒」さえあれば、吸入圧力計の筐体を外気に対して気密にして、エンジンの吸気マニホールドから細いパイプで導いた吸気をそのまま吸入圧力計内に導いても同様の機能を果たせます。この場合前面のガラス板等との気密管理にコストがかかると思います。それでも、もう1つ「空盒」を設けるより安いのかも。更に、精密機器内に砂塵の入る心配もないでしょうしね。

    即ち、A6M232さんが問題にしておられる吸入圧力計内に「真空ノ空盒」以外に「空盒」があるかどうかがキーになります。
    「真空ノ空盒」しかない場合は、水没時には計器につながれた管からの海水などの流入はありえます。「真空ノ空盒」以外にもう1つ「空盒」が有る場合は、計器につながれた管からの海水などの流入は、「空盒」が破れていない限りありえませんね。パッキン部分からの浸水ですね。

    (私個人的には前者ではないかと感じました。)

    ちょん太

  6. ちょん太さん、詳細にご意見ありがとうございます。
    片さんも二つの「空盒」に気にされて意見頂いていました。
    この疑問の発端となった現計器は分解すれば水没の有無と「空盒」の件はそれほど難しくなく判るのでしょうが、針・文字盤固定ネジの破損と状況証拠の喪失を恐れて最小限のクリーニング止まりでそのままとしております。
    文字盤記入が吸入圧力計に変更された17年初期頃の計器内部の水没計器写真は持っているのですが、浸水期間が長いもので付着が在り2個の「空盒」までは今一判別できませんでした。(パット見一つの様にも見えます)

    なんにせよ2個の「空盒」が在ったとしても、計器ケース自体が気密構造である事が理解出来ましたので「空盒」の破損が無ければ流入が無いとの事を確認でき感謝申し上げます。
    この計器の経緯と写真等詳細は今は訳在って無理ですが、いずれHP等で公開したいと考えていますのでその点大変申し訳ありません。
    A6M232

  7. 私のカキコがお役に立ててよかったです。
    私の表現が舌足らずで、誤解を生じていたらと思い、再度カキコいたします。

    >なんにせよ2個の「空盒」が在ったとしても、計器ケース自体が気密構造である事が理解出来ましたので
    >「空盒」の破損が無ければ流入が無いとの事を確認でき感謝申し上げます。

    2個の「空盒」が在ったとしたら、機能上、計器ケース自体を気密構造にする必要はありません。高度計と同等レベルの防塵的な密閉で事足ります。
    (防塵的な密閉なので、水密ではないと思います。)
    2個の「空盒」が在る場合は、機能上、2個の「空盒」の周りの大気圧に関係なく、「真空の空盒」と「吸入ガスの空盒」との、言わば綱引きで吸入圧が計測できます。2個の「空盒」が在る場合は、両者に同じ大気の圧力が作用するので互いに相殺するからです。

    「空盒」が1つの場合は計器ケース自体を吸入ガスで満たして、その中の「真空の空盒」の膨れや縮みを指針に導いています。吸入ガスの圧力が高ければ「真空の空盒」は縮みますし、吸入ガスの圧力が低ければ「真空の空盒」は膨れます。この場合計器ケース自体は外気に対して完全に気密にしなければなりません。

    「空盒」が1つの場合は、計器ケース自体が言わば「空盒」になっていると考えられます。そのため、計器ケース裏面の吸入ガス取り入れ口から文字盤まで、構造上「ツウツウ」になっているはずです。「真空の空盒」が破損してなくても、吸入ガス取り入れ口から水を入れると文字盤まで浸水するはずです。

    >吸入圧力計のガラスは他の計器に比べて分厚いので、もしかして計器内部に圧力が掛る構造なのかな?
    とのA6M232さんの記述からも、私は「空盒」が1つと想像した次第です。

    ちょん太

  8. ちょん太さん、再度感謝です。

    舌足らずどころか私が勘違いしている点を的確に指摘頂きありがとうございます。
    「空盒」が2個で在ればケースの気密構造は必要無しの件理解できました。

    ただ写真確認できるブースト計で真珠湾時の水没引上げ九九艦爆は全く浸水無しに見えます。(他の計器は明瞭に浸水が判別できます)
    古賀機は直後の写真では吸入圧力計下部数字「40」がくっきり半分と写真で見えますので浸水していると思われます。
    この点でどう思われるか御意見を頂きたい所です。

    A6M232

  9.  そもそも塩害による腐食と判断できたのでしょうか
    粒界腐食等の経年変化により気密状態でも腐食はありますし同一素材でも製造工程のわずかな違いで
    何十年と言う期間では耐朽能力に大きな違いが出る事は十分考えられるます。
    tune

  10. tuneさん、塩害判断は所詮素人判断です。
    ただ私が数多く見て来た日本軍計器の中で、外観と内部の不一致はこれしかなく辿りついた推測が塩害もしくは海水に水没だった訳です。


    A6M232

  11. A6M232さんは、実際の昔の軍用機の計器を手にとってご覧になったことがあるんですね。
    すごいですね。

    >ただ写真確認できるブースト計で真珠湾時の水没引上げ九九艦爆は全く浸水無しに見えます。
    >(他の計器は明瞭に浸水が判別できます)
    >古賀機は直後の写真では吸入圧力計下部数字「40」がくっきり半分と写真で見えますので
    >浸水していると思われます。この点でどう思われるか御意見を頂きたい所です。

    あくまで私の個人的な想像を述べさせていただきます。
    ブースト計のケースが気密になっているとします。(空盒が1つの場合。)
    九九艦爆が機首を下にして水没し、そのまま機首を下にした状態で引き上げたと想定します。
    墜落の衝撃でエンジン吸気部分が壊れて浸水しても、ブースト計に繋がるパイプが破損しても、
    機首が下を向いていたら即ちブースト計の表示面が上を向いていたら、ブースト計は気密ですから、
    ブースト計に海水は入らないのではないかと想像します。
    ちょうど、空のペットボトルを口を下にして水に漬けても水が入らないように。

    古賀機の場合は、ひっくり返っていますので、ブースト計の表示面がそれほど上を向いて
    いなかったのではと想像します。何らかの理由で吸気マニホールドかパイプに浸入した雨水等が
    ブースト計に入ったのかなと想像します。

    ちょん太

  12. すません。
    先ほど、wikiで「アクタン・ゼロ」をじっくりみました。
    上のカキコの後半は見当違いの想像のような気がしてきました。
    パイプをさかのぼって雨水等が侵入するのは、無理があるようにも思います。


    ちょん太

  13. ちょん太さん、ご推測をありがとうございました。
    当時の計器説明書に写真が載っていますが、どうも空盒が1つと思われます。また吸入圧力計二型から一号吸入圧力計二型に変わる変更点で(変更は文字盤表記、針・接続部形状のみ)接続部基部の強化(ケース素材エボナイトに埋め込み一体化)が見られます。
    ケース自体の気密性を更に高める為の処置だと思われますのでやはり空盒は1つと考えてよいようです。
    A6M232


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