200 現在グロスター・グラディエーターの資料を集めているのですが、良く判らない点が有り質問を上げさせて戴きます。

ゴーントレットからの改良部分で大幅に形状の変わった下翼の胴体付け根の後端部分ですが、写真の角度によってはスピットファイアのように「後縁が胴体付近で僅かに逆ガル形状」になっているように見えます。
フィレットも無く、しかも翼根が胴体に向け三段階に絞り込まれる複雑な形状なのでどうもハッキリ判りません。実際の設計はどうなっているのでしょう?

またついで質問になり恐縮ですが、このような翼根後縁を軽く逆ガル形状にする設計は通常のフィレットによる干渉抵抗の低減に対し、どのような空力的利点を狙った物なのかご教授頂ければ幸いです。
下駄スキー

  1. 「絞り込み」は2段ですね。訂正いたします。
    下駄スキー

  2.  手持ちの市販書の図面を見る限り、グラジエーターの内翼側は水平もしくは若干下半角が付いており、外翼側は上半角が付いています(写真でも内翼部に若干下半角が付いているように見えるものがあります)。因みにゴーントレットは、手持ちの書の前方から見た写真を見る限り、内翼部と外翼部で顕著な角度差はありません。
     このためグラジエーターの下部主翼は、見る角度によっては中央翼と外翼部の角度差が強調されるため、翼が軽い逆ガル形状になっているように見えます。これは同機を前方から見た写真でも、後方から見た写真でも確認できますが、後縁部は翼型の影響もあってより角度差がきつく見える感があります。

     なお「Gloster Gladiator & Hawker Hart:In combat with Swedish voluntary Wing F19, Finland 1940」という「冬戦争のスウェーデン義勇飛行隊だけを扱った」恐るべき本がありますが、これにレストア機のものを含めてグラジエーターの細部写真が一杯載ってますので、ここらを確認するには良い資料になるかも知れません。
    大塚好古

  3. お手持ちと重なっていたら申し訳ありませんが、マッシュルームブックスの
    グラジエイターとブルドック&ガントレット、...Anatomy of the World's Fighters、Om silverwings を見る限り、前縁でかすかに逆ガル、後縁ではかなり逆ガルのようです。かつ、下翼上面で逆ガルの程度が強く、下面では弱いか、あるいは外翼の上反角による錯覚で内翼下面はほぼ水平に見える写真もあります。前縁近くで胴体に接する(後縁では10cm程度離れる)小骨を0番としますと、その後縁から胴体へはフィレット状であり、2番目の小骨位置で胴体側小骨と外翼側小骨の2本を沿わして固定してあり、上翼外からの張り線を受ける(上翼中央部からの張り線は1番目の小骨で受ける)、そしてそこまでは金属板貼り・・・のように見えます。
    ガントレットでは胴体と翼の接続部は0本目の小骨で、板に軽め穴をあけてあるようで、張り線は胴体下部に固定されています。
    もうひと世代前のブルドッグですと、胴体・下翼支柱の翼側の小骨の位置で張り線を受けています。胴体・下翼支柱の有無を除くとグラジエーターと似た構成です。
    グラジエーターのこの「狭い内翼」部分の幅は、後ろ側のゴムの滑り止めの幅とほぼ一致しています(前側の滑り止めは1本目小骨までですが)。
    以上は観察した印象、以下は解釈です。
    空力的利点云々という以前に、・乗り降りや、胴体に沿って人が移動するのに、ガントレットの固定位置では張り線が邪魔くさかったので、グラジエーターでは、胴体そのものは細いまま構造体としての胴体幅を広げるためにブルドックふうの構成に戻した、その際、胴体・下翼支柱を立てるのはあんまりなので強固な内翼を設けた、強度確保のために0番小骨位置での翼厚を大きくしたために、ことに下翼上面で逆ガルになってしまった・・・のではないかと推測しています。
    見当違いでしたらごめんなさい。


  4. <大塚好古様 <五様

    非常に詳しい説明を有難うございます。やはり内翼部は下半角が有るようですね。また昇降性などは一切考慮していなかったので、新たな視点での推測にまた1つ機械設計の深さを感じました。

    資料本のデータも有難うございました。スッキリしました!

    ただ、スッキリはしましたが現在製作中のローデン社のキットはこの辺り全く再現されていないと言う悲しい事実にもブチ当たりましたw ちょっと悲しいですね…

    しかしこの翼根を切り欠く面白い後縁部の形状は、He70の処理に似た感もあり当時の流行だったのでしょうかね?


    下駄スキー

  5. 1/48 ローデンは手元にありませんが、1/72 ですと、エアフィックスはまったいらですが、マッチボックスですとかろうじて面影があります。 海外オークションで数週間待てば、極端に高価でなく入手できるはずです。面構成の資料と割り切ってご入手なさるのも一興かもしれません。

    グラジエーターの翼付根の切り欠きは後下方視界確保を主眼としているように思えます。胴体の背の高さも関係するのでウッドコックやゲームコックは多少例外的に見えますが、当時の英国単座戦闘機では、おおむね「操縦者の頭が下翼後縁ぐらい」となっています(スナイプはまた別の理由の例外かもしれません)。
    He70の場合には、操縦席からの視界にはほぼ無関係なように思えます。フラップ実用化初期であり、フィレットの有効性も試行錯誤されており、主翼が木製外板という事情もあります。
    同時期のいろいろな機の平面図を眺め渡しても、えぐっているもの、直線のまま突きつけ、フィレットあり、ロックやスキュアのようなフィレットととも言い難いものと多様ですので、特に流行っていたわけではないのではないでしょうか。

    >大塚さま 良い資料をお教えいただきました。



  6. >五様

    衝撃的な高性能で世界の航空関係者の度肝を抜いたHe70は、何かと30年代後半設計の飛行機を語る上で引き合いに出される事も多いので、グロスターもちょっと真似してみたのかな? とか妄想してみた訳です。

    30年代前半〜中盤にかけての飛行機は試行錯誤の塊で、傑作迷作駄っ作が入り乱れる様が面白くて興味が尽きません。(それを飛ばさなきゃならないパイロットや、設計者のヒラメキに社運を賭けざるを得ない経営者の苦悩はホントにお気の毒とは思いますが…)

    下方視界については全く考慮の外でした。飛行機の形を考える時に、空力面ばかりを考えてしまうと視野狭窄になってしまう訳ですね。貴重な教訓になります。プラモデルの情報と合わせて有難うございました。
    下駄スキー

  7.  プラモデルと言うとエレールの1/72をお奨めします、言われている外形上の特徴を良く捕らえています、雪上スキー付きであるのも興味深いところですが。
     マッチボックスよりは入手しやすいのでは。
    わんために

  8. エレールのがそれほどよいのなら私も探したいぐらいですが、海外オークションサイトをちらと見たところ、A:M:Hが28:7:1程度でした。


  9.  >7
     失礼しました、現役のキットなので、マッチボックスよりは入手性が良いかと考えた次第です、意外と国内のほうが見つかるかも(レオナルドあたり)。
     エレールのこの辺のキット(I153やシムーン等)は佳作がそろっています。
     本題からずれ、もうしわけありません。
    わんために


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