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第2次大戦機のドイツ軍用機のプロペラは3枚のものばかり(見落としがあるかもしれませんが)です。ジェット機時代に入ったからでしょうが、Bf109やFw190の後期型にも存在しません。なにか理由があるのでしょうか。 ヘックス |
- 回答ではありませんが、He177という例外もあります。
試作機だと4枚ペラはけっこうありますね。
wittmann
- Me109の終焉期(終戦前の混乱期)に、2段過給機を備えた試作機で、4枚ペラのヤツがあった、という説がありますね。当時のパイロットの目撃証言があったが、記録はない、というような。
確か、モデルアート別冊で読んだ記憶があります。
チャチャ入れ
- 失礼いたしました。Ju388とかJu488、Do317といった有名爆撃機の最終型にも4枚プロペラが付いていますね。日本では震電の6枚プロペラにもチャレンジしているのにと思ってつい書いてしまいました。早とちりでした。
ヘックス
- K-14に付ける予定のペラで4枚だと重くなると言う計算で止めたとか。
KZ
- >3.
震電の6枚ペラは試作機用の応急品で、量産機では広幅の4枚ペラになる予定だったようですね。
佐貫先生の丸メカ「ひこうきの話」で、「3枚ペラ用の治具を流用してこうなった」という話を読んだ記憶があります。
>4.
モデルアート臨時増刊No290 で確認しました。K-14は、僅か2機しか完成しなかったDB605エンジンの機体で、VDM4翅ペラ、とされていますが、配属された部隊の指揮官(バッツ少佐)自身は「4枚ペラの機体は見たことがない」と言っている、というエピソードでした。
チャチャ入れ
- 4枚プロペラのK14とは断片的な計画資料をもとに70年代に語られた伝説のようなものです。
現在ではBf109KはK-4のみが製作されたに過ぎないことが明らかになっています。その構想も含めてK型の実態は昔言われていたような内容とは少々異なります。
BUN
- >6.
早速のご指摘、ありがとうございます。
なるほど、モデルアートの記述はデタラメである、と。確かに昭和62年(=1987年)刊ですからね〜。この時期の資料はもう古い。資料は最新の学研シリーズに限る、って訳ですか。野原茂氏は今でも御活躍ですが…
それにしても、K4のみが作成された、というのは寡聞にして存じませんでした。仔細の判る資料のご提示は… って、言うだけヤボですね。
(片氏あたりから、ホノメカシのフォロー程度はいただけるのかな?)
チャチャ入れ
- 嫌味を言わなくても教えて差し上げます。
最近は便利な本が沢山出ていますので、Bf109各型式を知るならば「MESSERSHMITT Bf109 Recognition Manual」ISBM1-903223-27-X辺りを読まれたら如何でしょう。
今、どれ位まで調査が進んでいるか、概略が掴めます。
一人前の口を利くのはそれからでも遅くありません。
BUN
- >8.
御示唆のほど、ありがとうございました。早速アマゾンジャパンで発注しました。(¥5000-少しですね)
>嫌味を言わなくても教えて差し上げます。
>一人前の口を利くのはそれからでも遅くありません。
でも、皮肉の一つも言わないと、資料の提示をいただけないんんですよね〜。浅学の半人前としては…
チャチャ入れ
- ちゃんと読んでみると必ず面白い部分が見つかると思います。
ああ、20年の間にこれだけ進んだんだな、と興味も湧くはずです。
そしてまだ解らない部分も同時に見えてきます。
お互いそうした刺激が楽しくてやって来たんじゃありませんか?
BUN
- >10.
>お互いそうした刺激が楽しくてやって来たんじゃありませんか?
将にその通りと思います。だから、上から目線でおっかぶされても、背をかがめてお教えを請うております。半人前とか、最近の事情に疎いとか、といった自覚は十分に持っておりますので。
このように具体的に入手可能な資料の提示があれば、ロムっている方も購入しようと思われるかもしれませんし、有意義です。
だからこそ、資料の提示がいただけないと、次の出版のネタ元がバレて売り上げが落ちるかも、なんて下衆な勘ぐりもしてしまうのであります。
チャチャ入れ
- 私は現在、毎日ネット環境にある訳でも、資料に囲まれて書斎にいる訳でもありません。
すぐにレスがつけられないこともありますし、話を打ち切らねばならないこともあります。
そこに悪意をもって反応されても何も協力できません。
そして、ここは出典を争うような場ではないとも思っています。
ただ嘘はつかないし、役に立たない話はしません。
それを信じるも信じないも読む方に任せます。
BUN
- >7
スケールアヴィエーション誌の8号からK型とG-10の真実って連載をやっていました。
参考になるのはこれぐらいかな?
KZ
- これは回答ではないので本来なら書き込む内容ではないのですが、余りに見苦しいので苦言を一つ。
BUN氏、チャチャ入れ氏へ>
此処はANSQであり、回答を書く場です。嫌味を言い続ける場所ではありません。
少し、頭冷やそうか?
伸
- ドイツの戦闘機の場合エンジンのパワーアップに対応するのにイギリスのスピットファイアのように4枚、5枚とプロペラの枚数を増やすのでなく幅広のプロペラを採用する道を選んだということでしょうか。
ヘックス
- >15
スピットの5翅ペラ、というのは、前述の佐貫先生の連載に載っていますね。「プロペラ径と吸収馬力の兼ね合いで、結局プロペラ設計者がすべての泥をかぶった結果」だとか。その後、3翅×2重のコントラペラになりますが。
トイツ機が広幅のプロペラを使用するのは、ひとつの理由として、ユンカース製の木製ペラを使っていたのもが多いのも挙げられると思います。木製の場合、強度の関係でどうしても薄くできないので、広幅のほうが剛性も含めて有利になりますから。
尚、木製か否かを見分けるには、不時着時の写真を見て、ペラが根元から折れているのが木製、ひんまがっているのが金属製、と思えば(少なくともWWIIのドイツ機の場合)区別できます。この木製ペラの技術導入も、トイツ派遣の佐貫先生の仕事でした。
>14.
当方は回答(のヒントになる資料の提示)をいただくために書いています。手段と目的をスリ違えて批判することは止めていただきたく。
チャチャ入れ
- 便乗をお許し頂ければと存じますが。
プロペラは、2翅から3翅、更に3翅から4翅と枚数がふえるに従って、効率自体は低下するはずですが。
増大するエンジンパワーの吸収に、3翅を選んだと言うか選べたドイツと4翅を選んだ他国との設計思想の違いはどこにあるのでしょうか?
ソード
- 枚数が増えると効率がダウンするのですか。プロペラの総推進力(揚力)が増えると思い込んでいました。枚数が増えることによる機構の複雑化、重量の増加などとの兼ね合いということですか。Bf109、Fw190以後のレシプロ単発単座戦闘機は計画されていないようですが、これらの戦闘機は機体の変更なしでどの程度の出力のエンジンを積むことができたのでしょうか。BMW801という大出力エンジンがあったそうですが、これなどは積めたのでしょうか。
ヘックス
- BMW801FやBMW802でした。
ヘックス
- >18.
>枚数が増えると効率がダウンするのですか。
またまた佐貫先生の受け売りになりますが、プロペラは、設計者からすれば、同じ吸収馬力でも、直径を大きめにして3翅くらいにとどめ、回転数を下げた方が推力効率は良くなります。(「より多くの空気を“そーっと”後ろに押し出してやる」という上手な表現を使われていますね。
この大直径プロペラ指向で高推力を出して成功した例が、F4UやFw190です。ただし、ペラ系がでかいと脚が長くなり重くなる(主翼はジュラルミンのドンガラですが、脚柱は鉄のカタマリです)ので重量的に不利になるので、逆ガルにしたりして工夫するわけです。
>BMW801という大出力エンジン
これ、Fw190のエンジンですね。ちゃんと積めてますよ。ちなみにBMW803というのがバケ物系のエンジンです。(英語のWikiに画像があります)
>Bf109、Fw190以後のレシプロ単発単座戦闘機は計画されていない
Me309がありますね。計画だけならハインケルのP1076というウルトラ高性能機がありますね。ドイツにありがちな異形機でなく、「正統派」のデザインです。(資料が非常に古いですが、世傑の旧版「Bf110」に詳しい記事が載っています)
チャチャ入れ
- 16.<
>木製の場合、強度の関係でどうしても薄くできないので、広幅のほうが剛性も含めて有利になりますから
「剛性」とはどのような物理量で、単位は何ですか。
広幅にしたのはブレードの弦長を増すためだと思いますが。
薄くできないなら、木製にした理由は何でしょうね。
>直径を大きめにして3翅くらいにとどめ、回転数を下げた方が推力効率は良くなります
「推力効率」とは何の効率ですか。
「効率」なら無次元数でしょうが、分子と分母は何でしょうか。
また、回転数を下げても直径を増せば、接線速度はプロペラ半径×角速度なので、ブレードからすれば同じはずです。
なぜ「有利になる」のでしょうね。
P-51は1500ps程度でも四翅プロペラですね。
でも失敗という話は聞きません。
簡単に総括するのは難しいのではないでしょうか。
じゃま
- >20.
> BMW803
ありゃ,どいちゅのえんじにあサンたちの暴走の結果ではないかと(好きですけど)。
実際に完成寸前で,多くの機体に装備予定だった高性能エンジンは,ユンカース ユモ222ですね。これもJumo222でググると画像やウィキがヒットします。
> He P.1076
これですね。
http://www.luft46.com/heinkel/hep1076.html
確かにコンベンショナルなデザインで,Dr.フォークトあたりの計画とは方向性が違いますけど・・・ ラジエータを完全に表面冷却にして、後部胴体が全て蒸気チャンバーになってるとか,He177に通じる「ハインケル的アグレッシブ」を感じます。外見はいかにもハインケル〜ぅな,美しい機体ですけど。
きかんしゃやえもん
- 3翅がいいのか4翅いいのかよく解りませんが通常タイプの風力発電のローターが3翅で4翅以上のものはテレビで見かけません。関係あるのでしょうか。ふと気が付いたのですが、4翅の機体でプロペラ面を通す武装をしているものは無いようです。(例外的に紫電の7.7mm機銃)ドイツの場合、Bf109の胴体銃、モーターカノン、Fw190の主翼付け根の機関砲といった要因が4翅プロペラを装備しなかった原因でしょうか。Me309も3翅のようで翼付け根に4門積む計画だったようですがどうなのでしょうか。
ヘックス
- 疾風は四翅プロペラで12.7mmの胴体機関銃を装備してますけど。
KZ
- そうでしたね。では同調装置とは関係ありませんね。
ヘックス
- 特別に3枚プロペラを好んだのではなく、単純に次世代を担う排気タービン装備の戦闘機をFw190C(4翅)で諦めて、その後はジェット機配備までの繋ぎとして現有機の小改良型を生産し続けたことが「独空軍は3翅主義」に見える理由です。
BUN
- .17
>増大するエンジンパワーの吸収に、3翅を選んだと言うか選べたドイツと4翅を選んだ他国との設計思想の違いはどこにあるのでしょうか?
・木製の幅広ブレードは、重量、吸収馬力の点で増大するエンジン出力に対する(当時の技術水準で)解決策の一つとして成立していたということだと思います。
当時のドイツの設計者の方がどう考えていたかは存じませんが、
イギリスの技術者の方のご意見を二つ紹介いたします。
(1)"Airscrew Blade Materials"(Flight誌 1941年9月18日号 )
著者はデハビランド社のプロペラ部門の技術者、
木製ブレードは、ジュラルミン製のブレードと比較して羽根の厚みを薄くすることができない。羽根の付け根の直径も大きくなる。ただし、ブレードの重量は軽い。木製ブレードで4枚構成にするにはハブの部分のレイアウトが苦しくなるのではないか?
・木製の厚いブレードは、最高速度では不利であるが、離陸、上昇時の推力では有利である。
・(記事発行当時の認識で)ジュラルミン製ブレードが重量的に不利なのは振動対策のため軽量設計ができないため、振動対策技術は発展途上ににあり将来的には重量面で互角になる可能性がある。
・木製ブレードは大量生産をする場合、生産性の面でジュラルミン製に劣る。
・中空の鋼鉄製ブレードはアメリカで用いられている。ジュラルミン、木製にくらべ修理が難しいことでハンディキャップがある。
(2)"Airscrew A Revew if the Present Position and Future Outlook of Constant-Speed Airscrews"(Flight誌 1943年9月16日号 )
著者はRotol社のチーフエンジニア
エンジンの全開高度、出力は増大しているが、プロペラの直径を大きくするには限度がある。直径を抑えつつブレード枚数をを3枚から4枚に増大させることで対応する。木製ブレードは4枚ブレード構成で重量を軽減するために有効ではないか?
(要約が正確でないので、FLIGHTのホームページで原文をご確認ください。)
>プロペラは、2翅から3翅、更に3翅から4翅と枚数がふえるに従って、効率自体は低下するはずですが。
3-4枚とすることの効率低下は3%程度と航空力学の教科書に載っておりますが、プロペラ直径を自由に設定してプロペラの効率だけを最高値にすることはできないのでしょう。
プロペラ、機体重量、レイアウトの制限を考慮すると直径を制限して、多少効率が劣るが羽数あるいは羽根幅をを増したプロペラでエンジンの動力をを吸収するというのは合理的な選択です。
.16.21
>木製の場合、強度の関係でどうしても薄くできないので、広幅のほうが剛性も含めて有利になりますから
>
>「剛性」とはどのような物理量で、単位は何ですか。
>広幅にしたのはブレードの弦長を増すためだと思いますが。
>薄くできないなら、木製にした理由は何でしょうね。
木製プロペラは翼厚比を金属製のものほど小さくできないということのようです。
弦長を大きくするのは、翼面積(プロペラの場合は”solodity")をあげて吸収馬力を増大させるためのようです。当時は木製ブレードの方が重量の面で有利とされていたようです。(上のFlight誌の記事をご参照ください)
ME109はF型以降エンジン出力の増大に伴い、度々プロペラ幅の増大を行っていたようです。
>>直径を大きめにして3翅くらいにとどめ、回転数を下げた方が推力効率は良くなります
>
>推力効率」とは何の効率ですか。
>「効率」なら無次元数でしょうが、分子と分母は何でしょうか。
>また、回転数を下げても直径を増せば、接線速度はプロペラ半径×角速度なので、ブレードからすれば同じはずです。
>なぜ「有利になる」のでしょうね。
一般的な教科書では
推進効率= 推力仕事率÷発動機軸仕事率
プロペラの性能は推進速度と接線速度の比(V/nD速度÷(回転数×直径))で整理されます。
同じ、佐貫先生の解説あるいは教科書でV/nDでみると翼枚数の少ない方が、効率がよいとなっているのですが,,,,
教科書に載っているプロペラ効率の図表はNACAレポートの要約で前提条件が省略されている場合があるようですので原典でチェックした方がよろしいと思います。
(「飛行機設計概論」、山名正夫、中口博、養賢堂 は資料出典も示されており丁寧な解説だと思います。)
上に対する反例になりますが、同じブレード表面積で羽根を2枚とした場合と3枚とした場合を比較した試験では3枚羽根の方が2%程度高い推進効率を示しています。(NACA report-640)
い
- 皆様、解説していただき、ありがとうございました。
い様、詳しい解説、ありがとうございました。
それぞれの設計者が合理的と判断した結果を、自分が目にしているんだと認識しました。
4枚羽根は3枚羽根に比べてプロペラ軸方向の角運動量の値が小さくなると思うのですが、角運動量が差が操縦性や機動性に与える影響はどの程度なのでしょうか。ご存知の方いらっしゃいましたら、宜しくお願いします。
ソード
- >27.
詳しい解説をありがとうございます。ほとんど当方の持っている情報以上の内容なので、当方の原典だけ明示しておきます。
丸メカニック「No.7(雷電)、No.8(疾風)、No.9(鍾馗)」にかけての、佐貫亦男氏の連載「プロペラのはなし」です。
翅数に関する見解だけ抜き書きすると、
1.佐貫氏がプロペラ設計を始めた1930年代には1枚ペラの試作があった。これは複葉機と単葉機の差のようなもので、1枚で「のびのびと」回転できるからである。ところが、反対側にバランスウェイトが必要で、これは根元近くにつけるため、プロペラ全体では2翅より重くなる。これでどうも性能がパっとしないので最低は2枚からになる。
2.2枚が3枚になるのは、馬力を吸収させるには羽根幅を広げても限界があるから。3枚から4枚にも同じことが言える。
3.プロペラ設計者からみれば、3枚が一番バランスが良い。(エンジンが同じなら)4枚より少し直径を大きくした3枚が、効率もよく軽くなるのだが、脚が長くなり、引っ込める機体の穴が大きくなり、その周囲の補強が必要になり… で、全体としては4枚の方が良いということらしい。
4.プロペラの羽数としては3枚が理想的である。2枚だと飛行機が旋回するときに、コマの原理でプロペラ羽根にかかるモーメントが不均一になってありがたくない。3枚羽根はそれがない。
また、ドイツ機の木製ペラの功罪については、上記No.9のP15にシュワルツ製のものの記述があります。薄翼にできない反面、生産性に優れていることが挙げられています。
(ワンオフでも木製なら簡単に作れることは、大日本絵画刊「グスタフに翼を」をみると、実際の加工風景は見られます)
>22.
>Jumo222
これは忘れてました。確か実機に積んだ試作機(Ju288?)が飛んだかどうか、という状況だったかと… これ前提の計画機って多かったですね。
>He P107
確かに外見は美形ですが、後部胴体のみならず翼面もほぼ全面が表面冷却パネル。アクセスドアを小さくするために特異な引込脚で、その主輪の格納孔から20o機銃の弾薬をマガジンで挿入する、という徹底ぶりで、ハインケル魂の権化のような機体ですね。
>”Warbirds チャチャ入れ”もやってみたら… 見てる人は見てますね〜 かなり自己嫌悪、かな…
チャチャ入れ
- 皆さん、いろいろありがとうございました。Fw190F−10でBMW801F-1(2,400hp)を積む予定だったようですね。尾翼はTa152用になってますが、このくらいの出力ならトルクに対応できたのですね。
ヘックス