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大東亜戦争以前の航空機の計測方法について質問があります。 当時の航空機は正規全備状態、公称馬力で計測されましたが、 この事を証明する資料が下記の資料に記述されていると聞いたのですが、 それは本当でしょうか? 1929年の内令 へい(兵?) 三六(三十六?)号 そうであればこちらの正しい名称と、 このような資料を閲覧できるような場所があるとすれば どこへ行くべきなのか、教えていただけないでしょうか? Cephei |
- 後半だけ回答
「内令兵」は防衛研究所へ行けば閲覧できます。
詳細は
http://www.nids.go.jp/military_history/military_archives/
なお、このような文書を閲覧される場合は「昭和何年何号の内令兵」を見たいのか、はっきりさせておくと話が早いです。
出沼ひさし
- 昭和四年八月六日 内令兵三六 飛行機審査規則別冊ノ通改ム
です。
片
- 「航空機の計測」の意味するところが今一つ明確ではありませんが、昭和四年飛行機審査規則別冊での「最高速力」の規定は条文は次のとおりです。
最高速力(海上面全備重量時) スロットル柄ヲ全開トナシ水平飛行ヲナストキノ速力ヲ云フ
その意味するところはともかく、特に「正規全備状態」「公称馬力」という言葉が使われているわけではありません。
片
- 御回答ありがとうございます。大変参考になりました。
Cephei
- 片さんが紹介されているのは運転条件に関する部分です。重量について記載が無いのは当然なのです。
「全備状態」という言葉がこうした規定内で使われていないということではまったくありません。、飛行機の性能は実際に出撃する状態で計測するもので、飛行試験時に装備が揃わなければダミーを載せて重量を合わせよ、と指示されていたりします。
昭和四年八月六日 内令兵三八(38)
飛行機領収飛行試験規則
第一章 総則
第八条
飛行試験は兵器、消耗品等全備重量状態にて出発開始するものとす、但し機銃、航空機魚雷、爆弾等の如き飛行機の外部に装着する兵器物品は同重量、同形状の模型を使用し又無線電信電話器、航法要具、信号要具、燃料、潤滑油等の如き飛行機の内部搭載品は各固有搭載位置付近に「バラスト」を代用することを得
といった具合です。
この手の規定を読みたければ御近所の大きな図書館で「海軍制度沿革」を閲覧されると良いのですが、ただ質問を深読みするとお友達との「日本機は全備重量で性能を計測しているので、出版物などで紹介されている数値よりも実力があり、外国機とは違う」という議論があるとすれば、ちょっとどうかな、と思います。
日本の規定はそもそも外国に範をとったものですし、諸外国の飛行機も原則的に同じような条件で計測されるものだからです。
そして軍の公式文書の中に記載される数値も、場合によってはその型式の正しい状態で計測していないどころか、全く計測せず、前の略同型の数値を引用したり(零戦の一部型式に例がありますね)、使用燃料が異なる場合(隼一型の「495km/h」がそうです)もあります。
個別の機体について調べるなら大切なのは一般論ではなく、その数値が本当はどの型式のどのような条件で計測されたものなのか、あるいは本当に計測したのか、という点なのです。
BUN
- 昭和四年八月六日 内令兵三六 飛行機審査規則別冊ノ通改ム
の内容ですけれども、片さんの挙げられた「最高速力」の定義の隣に「高速力」という項目があります。
その定義は「発動機を正規最大回転とし水平飛行をなすときの速力を云う」となっています。そして審査時に計測すべき速力は
200米以下 最高速力 高速力
機種に応じ適当なる高度 低速力 最低速力
500米以上(500米並びに1000米ごと) 巡航速力 高速力
この飛行機は何千mで何km/hといった場合は「最高速力」の運転条件ではなく搭載発動機の正規最大回転で飛ぶ「高速力」であることがわかります。
BUN
- 詳細な解説をしていただき、ありがとうございます。
今後は皆様の御教授を参考に調べて行きたいと思います。
Cephei