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零戦のプラグコードについて教えて下さい。 芯線に紙を巻き、塗料を塗っただけ、という記述を読んだことがあるのですが、 坂井三郎氏がフィリピン攻撃の帰途、豪雨の中帰投したと著書の中にありました。 現在の自動車のように点火プラグに抵抗が入ってはいないと思いますが、 防水が不十分であれば高電圧の電流はプラグに流れるよりリークしてしまうように思います。 また、ゴムやビニールを使わずに防水性のあるプラグコードを実用化していれば それは立派な技術だと思います。 このあたりについてご存知の方、よろしくお願いします。 toto |
- 一般的には、錫鍍金した銅線を撚ったものを心線とし、そこに2mm程度の厚みのゴム皮膜をし、さらにその上に0.5mm程度の合成ゴムを皮膜し、その上に木綿を被せて塗装したものを用い、さらに鎧装といって上に錫鍍金の銅線の網を被せる場合もあります(その場合、さらに外側にテープ等を巻くこともあります)
場所やレイアウトによっては収束電纜にしますが、こうした場合は金属パイプを上に被せることもあります。
ゴムが高圧電気、合成ゴムは内層の天然ゴムのオゾン亀裂を防ぐため、塗装木綿は水油等からの防護を想定したものですが、合成ゴム層を持たず天然ゴムへの緊縛をもテープや木綿に頼る場合もありますし、チオコールのような耐油性のある合成ゴムなら木綿層を無くすこともできます。
また木綿はセルロイド系の塗装をしているようです。
戦後すぐぐらいの家電製品を見たことがあれば、おおむね想像はできると思います。
また日本は天然ゴム資源には余裕があったので、恐らく合成ゴムないしビニルの層が端折られた電纜を用いる例があったのではないかと想像しますが、上で述べたように合成ゴム層は天然ゴム層の緊縛の為ですから、天然ゴム層の寿命を無視するなら緊縛は要りませんし、油や水を防ぐには別途木綿ないしカンブリックテープ層を用いるので、天然ゴム皮膜+紙(に見える木綿)でも、見かけ上の性能は変わりません(寿命や整備性や信頼性ではかなり差があるでしょうけど)
また電纜の保護のために金属管を被せる場合もありますが、この場合は重量や熱、そして換気・通気に留意が必要になり、ここでトチると高高度等でコロナ放電おこして問題になったりします。
まあ、つまりは、紙に見えるもので覆った電纜というのは、当時としては当たり前に丁寧に作られた耐水耐油構造であるということです。
SUDO
- 補足。
>セルロイド系の塗装
発火しやすいニトロセルロース系ではなく、不燃性のアセチルセルロース塗料です。
絶縁塗料として一般的なものです。
片
- >芯線に紙を巻き、塗料を塗っただけ
戦時中の事は日本の技術が低く軍も悪かったと誇張する通説が沢山ありますので要注意かと・・・
手元にある零戦のプラグコードは「銅線<ゴム<木綿?絹?<金属のフレキシブルチューブ(後期で銅系も在り、誉等)<鎧装」と断面から一目瞭然で解ります。
他の機体各部の電機関連のコード類もゴム被膜を確認していますが(射爆照準器内部等)、確かに紙で巻いた様な物も散見しています。
私は詳しいことは解らないのですが、SUDOさんが書かれた事のままだと思われます。
プラグも通説では酷かったと語られますが、初期の絶縁素材は雲母でしたが後期はしっかりセラミックとなっています。
A6M232
- 片さん
なるほどです、勉強なります。
A6M232
- SUDO様、片様、A6M232様、ありがとうございました。
toto
- 現物の写真をどうぞ。
彗星です。
ジャングル内で数十年その後改修されてグランドキャニオンのそばに有りますがご覧の様に皮膜は残っています。立派な物だと思います。
http://picasaweb.google.com/magicsmagics/Suisei#5106605233814300274
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