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誠に漠然とした質問で申し訳ありません。「紫電改」は紫電三一型で機首に13ミリ機銃を追加装備していますがなぜでしょうか。20ミリ4門でもまだ足りない、という事なのか、命中率が高いとされる機首機銃が必要になるほど翼内銃が当てにくいから、とか、いろいろ妄想して悩んでいます。 REFREX |
- まずは呼び水程度に…
エリコン式20o機銃ですが、よく言われる"小便弾"的な弾道特性と同時に、黄燐式の焼夷弾では大型機の防弾タンクの表面で自爆してしまい、貫通・着火に至らないという欠点があったようです。このために、空気信管を持った焼夷通常弾一型が開発され、B29対策としては大いに役立ったようですが。
紫電三一型の13mm機銃は、口径は小さいながらブローニング式で貫徹力があったため、上記のような欠点を補完する目的で武装強化された、と読んだ記憶があります。
(前半の出典は、丸メカニック旧版5巻"烈風"P28以降。五式30mm機銃の開発に当たった川上陽平氏の記述より。この記事は海軍の機銃開発の具体的な弾道特性等が数値・グラフで示されていて、開発の経緯が当事者によって語られていて参考になります)
TOSHI!!
- 20mm機関砲は、紫電11乙型で、99式20mm機銃2号固定4型(ベルト給弾、初速:750m/s)を採用していますから、紫電31型にも、同じ20mm機関砲が搭載されているかと思います。
そうなると、果たして紫電に搭載の20mm機銃も「小便弾」だったのでしょうか?
(初期の零戦に搭載の99式20mm機銃1号固定3型は、初速が600m/sでした)
キリン
- まず、20o機銃については"呼び水"として挙げているのですが…
99式2号銃は確かに1号銃に比べて初速が大きく弾道特性は改善されていますが、それが、例えば米国のブローニング12.7o機銃と同等またはそれ以上の延伸性をもったものか否かは疑問です。これは、坂井三郎氏等の記述にも一端が現れています。(彼の戦法は極接近戦なので必ずしもあてはまりませんが)。
ここで言いたかったのは、エリコン20o機銃の黄燐型焼夷弾は大型機の迎撃には弾頭自爆の欠点があり(これはB17やB24迎撃戦でもあったらしい)、分厚い防弾タンク壁を貫通できる武装が要求されていたということです。
このため、本土防空戦においては、まずは炸裂焼夷効果より、まずは貫徹力を重視した13mm機銃を追加した、という逸話を聞いた記憶がある、ということです。
もちろん、根本解決としては30mm級機銃が必要となり、海軍は五式30mm機銃、陸軍はホ155I・II機関砲を主力として採用していくことになります。
各種口径の弾道特性、貫徹力、残速等は、1.の資料に具体的な数値として示されています。まだ十分古書で入手可能なので、ご自身で調査・判断してみられればいかがでしょうか。
また、国本康文氏の一連の研究が、学研「歴史群像シリーズ」の、"烈風"、"紫電改"、"雷電"、"陸海軍試作戦闘機"等に発表されています。こちらはまだ新刊で入手可能なものが多いはずです。
以上、ご参考までに。
TOSHI!!
- 海軍の戦闘機用機銃は、後に13ミリを廃して20ミリと30ミリだけになっています。九九式二号銃の弾道や威力にさほどの支障はない、と考えられていたからでしょう。
三式13ミリ機銃の利点がどの辺にあるかといえば、発射速度が大きいこと、すなわち単位時間当たりの発射弾数が四型までの九九式二号固定機銃に比べて格段に大きいことです。この機銃を装備するということは、短い射撃機会にできるだけ多くの弾数を敵機に叩き込むことが望まれているからなのです。
ということで、この13ミリ機銃は対戦闘機戦闘に有利なのです。この機銃を装備した、あるいは予定されたのが、零戦、紫電改、烈風だったことからも明らかですね。
片
- >4.
紫電三一型への13mm機銃搭載は、投射弾量の所以でしたか。であれば、武装強化ということですね。九九式二号銃五型は720発/分を達成したが反動が四型の1.5トンから2.5トンに増えたため、搭載機の機体構造強化計画中に終戦となった、とされていますので、納得しました。(「烈風三速」や陣風は20oを六丁積んでいますし)
参考までにお聞きしたいのですが、1.の20o黄燐弾の表面自爆に対してブローニング系の12.7mm(13mm?)なら貫通するので云々、という記述を読んだ覚えはあるのですが、そのような逸話は実在していなかったでしょうか。件の「空気信管を持った焼夷通常弾一型」の開発時期とも絡んだ話にはなると思いますが、当該記事には「B29に有効であった」旨の記述しかありませんでしたので。
TOSHI!!
- 13粍機銃の装備計画は零戦、紫電、烈風だけではありません。
紫電改に装備が計画された際、同時に雷電にも機首に13粍機銃を追加する計画が検討されています。単純に「投射量優先」「対戦闘機用」ではない、ということです。
BUN
- 大変申し訳ありません。
↑の上記は、61番の拙問に対する皆様のご回答へのレスでした。
入力ミスでした。お詫びします。
管理人様、可能なら削除願います。
NG151/20@平身低頭
- >6
失礼いたしました。
片
- 皆様、有り難うございます。
「乙戦である紫電改が甲戦化していく中で、対戦闘機戦のための武装追加」という事であればわかりやすい、と思っていましたが、どうもそう単純ではないようですね。
REFREX
- そうです。もっと大雑把で身も蓋もない兵装強化が戦争後期の海軍航空隊なのdえす。
BUN
- すみません。横からの質問をご容赦ください。
>単純に「投射量優先」「対戦闘機用」ではない
とすると、どういう目的での武装強化なのでしょうか?
単にどの機種にも(13mmを)着けてしまえ、という無計画な行動と言うわけではないでしょうし?
HELLDIVER
- 零戦、雷電、紫電などの戦闘機が装備している7.7mm機銃をより威力のある13mmに置き換えるという着想が第一で、その結果としてのスペックから理由づけすると間違えやすいということです。
紫電11型で装備していた胴体機銃を21型試作機では下ろしてしまったが量産機では13mmに強化して再装備する、という流れです。
BUN
- 三菱の方にまでJ2の13ミリ搭載が発令されていないように思えたので誤解してしまいました。すみません。
憶測は差し控えるべきでしょうが、13ミリはプロペラ同調装置が使えるというのがひとつポイントなのかもしれませんね。
片
- 三式13粍が生産が上がらないにも関わらず諸計画に盛り込まれて重宝された理由の一つには油圧装填装置が使えたことも大きいようです。
BUN
- >13.
>13ミリはプロペラ同調装置が使えるというのがひとつポイントなのかも
陣風は20o×6の他に、主翼付け根という(日本機としては)やや変則的なプロペラ同調機銃を装備してますしね。
>14.
>重宝された理由の一つには油圧装填装置が使えた
九九式二号銃ですら空気圧⇒油圧⇒を経て末期は手動装填になってますが、そのあたりとの関係はいかがなものなのでしょうか。13mmなら装填力が小さいので扱いやすかった、とか?
TOSHI!!
- >15
エリコン機銃の油圧装填機構に手間取っているだけで、他の機銃や陸軍の航空機関砲は油圧装填を比較的容易に採用しています。
二号銃の装填機構は、厳密に言えば空気装填、油圧装填(試作失敗中止)、索装填、手動装填です。
BUN
- >16.
フォローをどうもありがとうございました。
TOSHI!!
- >より威力のある13mmに置き換えるという着想が第一
>結果としてのスペックから理由づけすると間違えやすい
なるほど、そういう意味で言われていたのですか!
了解しました。ありがとうございます!
HELLDIVER