15 AnsQ再開ありがとうございます。
また勉強させてください。

 以前から抱いていた疑問ですが、ゼロ戦はなぜ水メタ噴射の栄31型を53型以降に導入・量産できなかったのでしょうか?

 一式戦は三型で、栄31型相当のハ115-2に換装して、P-51と対抗可能という評価を得た事例があることを考えると、なおさら疑問が募るのです。

隼最強伝説 撃墜王と過ごした晩に(BUN様)
http://www.warbirds.jp/truth/ace.html

 諸兄のご教示を願います。

                           08.12.10.未明記


NG151/20

  1. 「丸」19年1月別冊不滅の零戦 によれば昭和19年夏発生した栄発動機の減速器歯車の
    連続破損事故の対応に追われ試作が遅れ、続いてフィリピン航空戦に突入したため
    現行型の生産が優先されたためとあります。
    toto

  2. 「一式戦三型でP-51に必勝」とおっしゃったのはノモンハン以来の老練な操縦者であることはお忘れなく。
    BUN

  3. 対抗可能というより、文字通り「負けはしない」――攻撃を回避できる、というニュアンスだったと記憶しております。


  4. 便乗質問です。

    横転(ロール)は使わなかったとインタビュー中にありますが、これはロール性能に優れた機種が多かった連合軍戦闘機と同じ土俵で戦うべきではないと解釈すべきなんでしょうか?
    中田

  5. 大掃除していて、ようやくこのインタビューのときのノートが出てきました。

    「急横転はあまり使わなかった。敵機の射弾を避けてくるっと回っても、一蹴してまた同じところに戻ってしまうので、また弾を浴びてしまうから」
    ということでした。

    「一戦より二戦の方がロールが速い」ともおっしゃっています。
    しかし、「旋回は一戦の方が小さくてよい」
    すなわち、機種によって有利な戦い方を採る、ということ。

    一戦三型がよい、というのは余裕馬力があるから劣位からでも急上昇ができること。
    この点は四戦も同じ。
    比べると一戦三型の方がよいのは、エンジンに信頼性が置けるから「無理できる」、だから「四戦と一戦三型が両方あったら一戦三型に乗りますよ、私は」という、この方なりの見解であるとのことでした。


  6. 「一蹴」ではなく「一周」でした。
    ごめんなさい。


  7. もうひとつ。
    「Pの40と、サンパチともやりましたよ。サンパチとは決して負けない、(相手が)運動性悪いから」
    「P−40も51もあまり変わりませんよ」
    とのことです。
    P−51と実際やったことがあるのかどうか、はっきりとはおっしゃらなかったような気がします。


  8. >片さん

    情報ありがとうございます。
    中田

  9.  toto様、BUN様、片様、中田様、ご回答ありがとうございます。

    返事が大変遅くなって申し訳ありません。
    出張を含む仕事が重なり、趣味の分野である投稿には時間を割けませんでした

    >大掃除していて、ようやくこのインタビューのときのノートが出てきました。
    (片様)
     前回(ハ-40関連)に続き我が愚問に、手間暇かけてご対応いただき、感謝に絶えません。

    >ノモンハン以来の老練な操縦者であることはお忘れなく。
    (BUN様)
     一式戦三型の長所は、彼らベテランでないと引き出せないということですね。

    >対抗可能というより、文字通り「負けはしない」―攻撃を回避できる、というニュアンスだった
    (片様)
     これは、悪意に解すと、撃墜はされなくても機銃二門の威力不足でP-51の撃墜はできず、水平、降下とも劣速なので逃げ切ることもできない、という意味にも取れます。それならば、これらの弱点が改善された四式戦のほうがいいのでは? とも思うのですが…。

      なお残る疑問
     せっかく皆様からご回答いただいているのに恐縮ですが、私の最初の疑問である
    >ゼロ戦は、なぜ水メタ栄を使えなかったか?
    については解消できていません。

     Toto様のご紹介の
    >栄発動機の減速器歯車の連続破損事故の対応に追われ試作が遅れ、
    はWikipediaにも載っていますが、同一エンジンを使っている以上、減速歯車の破損は一式戦にも起きているはずで、一式戦が水メタに換装できて、ゼロ戦ができなかった根拠としては弱く

    >フィリピン航空戦に突入したため現行型の生産が優先されたため
    も、それ以降の特攻仕様の63型が水メタ非装備で生産された理由にはなりません。

     さらにBUN様ご紹介のベテラン操縦士氏の
    >比べると一戦三型の方がよいのは、エンジンに信頼性が置けるから「無理できる」
    に到っては、水メタ栄は誉より信頼性が高いことになり、海軍が採用しなかった根拠は崩れてしまいます。

     原質問より時間が経ってしまい恐縮ですが、ご教示いただけたら幸いです。

      追加の質問
    Q.一式戦三型は、何機くらい生産されたのでしょうか?

     子供の頃の記憶をたぐっても、三型の生産数のデータは見たことがありません。
    AnsQに参加するようになって、キ-100の生産が、三菱名発の被災・被爆によって実は行き詰っていた、という世評とは違う実態を知ることができました。

     一式戦三型も、当時中島は、発動機生産を誉に集約し、栄は減産に向かっていた時期のはずなので、そんなに多数はできてはいないのではと思うのですが、いかがでしょうか。

                               08.12.30.11:25記


    NG151/20

  10. 学研歴史群像「隼」によれば機体は立川飛行機、発動機は川崎航空機にそれぞれ
    転換生産とあります。同書の中では隼のエンジンに零戦にあった減速器の不具合に
    ついて記述はありませんし、過去にこのサイトでも語られていたように隼と零戦の
    発動機は減速器が異なるなど同じ系列のエンジンであっても全く同じエンジンではないようですので
    零戦の減速器トラブルは石川島製のものに限られるのではないかと思います。
    諸先輩方のコメントを待ちたいと思います。


    toto

  11. 「海軍から採用されなかった」のではなく「海軍は採用に向けて進めていたが、審査実験が滞ったので採用も棚上げになっていた」が正解です。
    遅れた理由はtotoさんが述べておられるとおり、空技廠発動機部が石川島製栄の不具合対策に忙殺されてしまったからです。
    減速遊星歯車締付ネジが代用材使用のため強度不足だったため折損したという些細なことではありますが、石川島製栄を載せた零戦が飛行中にプロペラ飛散事故を多発していることはちょっと戦記、写真集を眺めるだけでもいくつも事例に突き当たることで件数の多さが理解でき、事態の規模、深刻さがよくわかります。この対策のため、審査実験担当官も水メタ栄を投げ出して練戦で各地を飛び回らなければならない羽目に陥っていたのです。
    それでは合格にはなりませんし、運転データも整わないので実機搭載が進められなかったのです。
    この緊急事態もいずれは去り、水メタ装備の栄三一型は末期には実戦配備にまでどうやら漕ぎ着けていたのではないかとも、ちょっとした証拠があった上で想像しています。ただ、その段に至って全機回収が必要なまでの程度の焔色不良、点火栓汚損問題が発生していた可能性もあります。


    >対抗可能というより、文字通り「負けはしない」―攻撃を回避できる、というニュアンスだった
    (片様)
     これは、悪意に解すと、撃墜はされなくても機銃二門の威力不足でP-51の撃墜はできず、水平、降下とも劣速なので逃げ切ることもできない、という意味にも取れます。それならば、これらの弱点が改善された四式戦のほうがいいのでは? とも思うのですが…。

    これに関しては、逃げ切ることはできるのだけど、反撃が効果的に行えたかどうかは時の運、というような感じでとっていただければ。
    軽戦の身軽さでヒラっとかわしてそのまま敵の後方に出る、という戦闘法もおっしゃっておられたのですが、訓練時のものだったようにも思えました。


  12. 全機回収→全機改修

    この件については水メタに特有のことなのかどうか今の段階でよくわかっておりません。


  13. 一式戦三型の生産数は、中島3、立川1501のはずです。


  14. toto様、片様
     遅レスにも迅速ご回答いただき、改めて感謝します。

    >過去にこのサイトでも語られていたように隼と零戦の発動機は減速器が異なる
    (toto様)
     栄二一型とハ115の減速器部分が異なり(栄は十三試陸戦用のプロペラ逆回転の二二型と互換を取るため減速器部分が長く、ゼロ戦三二型以降とキ43IIでは機首回りの外観が異なるということは、私も読んでいました。その部分の差異が明暗を分けたとのこと諒解しました。

    >「海軍から採用されなかった」のではなく(以下略)
    (片様)
    諸事情諒解しました。

    >石川島製栄を載せた零戦が飛行中にプロペラ飛散事故を多発している
    (片様)
     私の知らなかったことでした。単発機でプロペラが飛散してしまえば、よほど滑空が上手くいかない限りは墜落必至なので、そちらの処理を優先するのは当然でしょう。

    >一式戦三型の生産数は、中島3、立川1501のはずです。
     一式戦の全生産数は5751機なので、その四分の一強という数値には驚きました。
     ゼロ戦も水メタ栄が詰めれば、五二型丙以降ももう少しグラマン相手に善戦できたのに、と思うと悔やみきれませんが、史実は史実として受け止めます。

     皆様ありがとうございました。それではよいお年を
                               08.12.31.22:23記

    NG151/20

  15. 一式戦三型、四式戦、紫電。
    大規模投入が比島戦の時期になってしまった各機種は、かなり大量に用意できたはずの高性能機が吸い込まれるように雲散霧消してしまった感がありますね。
    A6M5Cはその紫電よりもはるかに遅く出現しているわけですので、仮に出力向上が果たせていたとしてもやはりあまりに間に合っていなかったように思ってしまうのです。


  16.  片様、明けましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願いします。

     負傷から復帰した坂井三郎氏が、新鋭のはずの紫電が、惜しげもなく用廃にされて山積みにされているのを見て驚いたという記述がありますが、脚に、発動機と欠陥を抱えた紫電はともかく、それなりに円熟していた四式戦が、生産数の割に目立った、話題になる戦果を比島戦で挙げていないのは何故でしょうか?

    >高性能機が吸い込まれるように雲散霧消してしまった
    (片様)

     米軍の数的優位や、電探の駆使など戦術上の優位の下では、単体の少々の性能上の優位は、有意な結果につながらないということなのでしょうか?

                               09.1.02.未明記
    NG151/20@謹賀新年

  17. > 米軍の数的優位や、電探の駆使など戦術上の優位の下では、単体の少々の性能上の優位は、有意な結果につながらないということなのでしょうか?

    そのとおりだと思います。



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