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2597 前回は海自DDHについてのご教授ありがとうございました。

第一次大戦時に投入された軍艦には石炭専焼の機関を持っているものが少なくありませんでしたが、このような機関を重油専焼のものへと改めるために何か特別な改装が必要だったのか、そうであればそれはどういった改装になるのでしょうか?
また、重油は石炭に比べ効率が良いという話は漠然と知っているのですが、石炭専焼から重油専焼へと改めることによって、最高速度・航続力などの点で具体的にどの程度の変化が現れるのでしょうか?

よろしければ、再びご教授お願いします。
おさむ

  1.  乱暴な事を言うなら、油噴射装置を石炭の専焼室につければ、重油焚きの可能なボイラーになります。一般的な混焼缶はこんなものから始まってます。
     勿論、専門設計された効率のよいボイラーに交換する場合は艦から従来のボイラーを撤去して新たな新型ボイラーを設置する作業が必要になり、一般的には船体上部構造物の多くを撤去して甲板を捲ってボイラーを交換します。此の際ついでに他の改装も行うのが一般的です。
     勿論、単にボイラーを換えるだけでは無く、配管等も必要ですし、ボイラーはかなり嵩張り重たいものですから、交換に伴う重量バランスの変化等も計算する必要があります。

     また最高速度の変化は基本的にはボイラー交換だけでは起きません。
     蒸気機関の場合、缶(ボイラー)で発生させた蒸気のパワーを、機械(タービンやレシプロ)で回転エネルギーに変換し、スクリュー軸を回します。
     よって機械が耐えられる以上の蒸気エネルギーは無駄になります(勿論機械はそれなりの余裕を持ってますが)もしも交換前のボイラーの力量で既に機械の方が限度いっぱいならば、新型ボイラーにしてもスクリュー軸の馬力は変化しないというか変化させられません。
     またこの事があるので、新型の高性能ボイラーを搭載する場合は、力量を無理に上げることなく、ボイラー数を減らす等で馬力があまり変わらないようにする事もよく有ります。ただ、新型ボイラーのおかげで無理なく最大出力を発揮可能になる等の事例もあるので、一般的には多少馬力・実効性能が向上すると思っても良いでしょう。
     また航続力ですが、ボイラーの燃焼形式のみならず、蒸気圧や温度も非常に大きなウェイトを占めるので、重油化だけでは顕著な違いはありません。石炭のkgあたりのカロリーは4,000〜7,600kcalといわれてます(軍艦で良く使われた無煙炭で約6,500)重油は1万弱ですので、重量あたりでは1.5〜2倍良い事になります。良く出来た非常に効率の良い缶でしたら、理論上は1.5倍以上の効率で熱エネルギーを生み出せますので、燃費は1.5〜2倍ぐらい良い事になります。まあ比重もあるのでスペースあたりの効率はまた違ってくるかも知れません。
     また石炭は上手く燃やすのにかなりの熟練を要するのですが、重油バーナーですとそのあたりも楽になるので、設計性能に近いものが概ねどの艦でも期待できるというのは利点です。
     また石炭をくべる人員を削れるので、居住性等に関しても有利になるかもしれません。
    SUDO

  2. 石炭焚きのフネの行動力は火夫の体力に依存しますので(基本的に手焚き)、最大速力を長時間連続して発揮するのには限界が有ります。
    また、石炭を燃やすと灰が火格子の上に溜まりますので、時々ポーカーと呼ばれる鉄棒を突っ込んで灰落としをしなくてはなりません。ウェールズ炭が舶用燃料として賞用された理由は、発熱量が大なコトと、灰分(不燃性の岩石質)が少ないコトに有ります。
    独逸の石炭は発熱量が小で灰分が多い褐炭がメインなので、かのジャットランド・バンク海戦のトキ、巡洋戦艦部隊は火夫が正午(サマータイム運用中でGMTよか2時間先行)以来、全く喫食できなかったのと、連続大速力(23ノット前後)発揮のため缶内に灰が堆積し、北上戦の頃は全速発揮がかなり困難であった旨、「北海海戦史」に報告されてます。
    あと石炭焚きだとどうしても黒煙や火の粉が飛散しますので、被発見率が高まるコトや、艦内に灰捨て設備が必要なコト、石炭の積み込みが大変(総員係り)なコトなども重油専焼に比較して不利な点でしょう。
    駄レス国務長官

  3. >2
    自動給炭機(ストーカー)は軍艦では使われなかったのですか?
    後、微粉炭燃焼炉を使えば低質炭も有効に燃焼できるまずですが。

    カーフ

  4. 石炭焚きのフネの行動力は火夫の体力に依存しますので(基本的に手焚き)、最大速力を長時間連続して発揮するのには限界が有ります。
    また、石炭を燃やすと灰が火格子の上に溜まりますので、時々ポーカーと呼ばれる鉄棒を突っ込んで灰落としをしなくてはなりません。ウェールズ炭が舶用燃料として賞用された理由は、発熱量が大なコトと、灰分(不燃性の岩石質)が少ないコトに有ります。
    独逸の石炭は発熱量が小で灰分が多い褐炭がメインなので、かのジャットランド・バンク海戦のトキ、巡洋戦艦部隊は火夫が正午(サマータイム運用中でGMTよか2時間先行)以来、全く喫食できなかったのと、連続大速力(23ノット前後)発揮のため缶内に灰が堆積し、北上戦の頃は全速発揮がかなり困難であった旨、「北海海戦史」に報告されてます。
    あと石炭焚きだとどうしても黒煙や火の粉が飛散しますので、被発見率が高まるコトや、艦内に灰捨て設備が必要なコト、石炭の積み込みが大変(総員係り)なコトなども重油専焼に比較して不利な点でしょう。
    駄レス国務長官

  5. >>4.
    済みません、ミス送信されてしまいました。

    >>5.
    ストーカーは駆動用にエンジン(小型の蒸気機関)が必要ですから、缶数分揃えたりするとスペース、重量、蒸気消費、メンテなどが大変なのを考慮すると、あまりメリット無いんじゃないでしょうか・・・
    微粉炭燃焼装置はまず石炭を微粉化する装置が必要なのと、燃焼制御が難しいコト、また微粉炭自体が引火・爆発し易いコトなども有って、艦艇用に実用化された事例は承知しておりません。
    駄レス国務長官

  6. >5

     細かい事はわかりませんが、エクセターがスラバヤからの脱出時に日本艦隊によって発見された際、速力増大のため規定以上の出力を出すべく「粉炭を燃やせ」という命令が出されてますので、微粉炭燃焼装置に類する装置がWWII時の英艦の汽缶には緊急時のブースト用として付随しているようです。
    大塚好古

  7. >>6.
    前日(1942.2.27)のスラバヤ沖海戦でHMSエクゼターは缶室に被弾(8in)し、速力が16ノットに低下してスラバヤ港に遁入したとなっており、翌日の出港にも辛うじて半速出せる程度であったとのコトですんで、万止む無く港内に備蓄の粉炭を積み込んで焚いたんでしょうかね?!
    常設的な設備とは思えませんが >> 微粉炭燃焼装置

    駄レス国務長官

  8. >7 そうなんですよねぇ。私も常設してたとは思えないんですが…、何かしら重油専焼缶で粉炭を燃やせる緊急的な装置があったのでしょうか。

     …この件については私も真実が知りたい(^。^;)。
    大塚好古

  9. SUDOさま
    駄レス国務長官さま
    カーフさま
    大塚好古さま

    皆さま、ご回答ありがとうございます。特にSUDOさまの神速かつ詳細な解説にはただただ舌を巻くばかりです。

    一言でまとめると、石炭専焼から混焼・重油専焼への缶方式の変更は、さほど効率を追求しない限りでは、全刷新のような大掛かりなものでなく缶内のバーナー設置や配管などの小改装でも事足りる、ということでよろしいでしょうか。
    また缶数や蒸気圧の変化がなければ、軸を回す機械も別段改修の必要がない、と理解させていただきました。

    疑問が一つ解決すると新たな疑問が・・・というのは世の常でしょうか、新たに疑問が湧いてきましたが、スレッドが長くなりそうなので別に立てます。
    ご回答ありがとうございます。

    追伸
    思ったより長くなりそうなので、HNを常用のものに変更させていただきました。ご了承ください。
    影十字(おさむ改め)

  10. >>6.
    >>8.
    本題と離れてしまうのでアレですケド、「粉炭」は大塚さんご参照の原典(英文?)では何と表現されてますでしょうか?!
    @ dusty coal
    A pulverized coal
    B その他

    >>9.
    まとめとしては概ね宜しいんじゃないでしょうか。
    駄レス国務長官

  11. >10

     今ちょっと原本が他所に行っているので、これについて「本当か」と以前英側の識者とやり取りしたメールの記載によりますが、相手は「Small Coal」か「Culm」と書いてます。(本職は当初(I)で書いてました)。

     因みにこの時の話の総意は、「確かに艦長がそう言った(命令した)と記録してるのも居るんだが、ハテどうやったのだ?」で詰まって結論は出ませんでした(^^;。

     英艦の汽缶の資料とその原本が帰ってきたら、また読み返してみます…。お騒がせして済みません。
    大塚好古

  12. >>10.
    早速のご回答有難う御座います。
    でしたらdusty coalと同義です。
    小官が >>5. で述べたのはpulverized coalで、次元の違うモノです。
    おそらく、焚き口(人がくぐれる程度の円孔)の重油バーナを取り外し、そこからあとさき構わず粉炭を投入(手焚き)したものと思われます。
    駄レス国務長官

  13. >5
    イタリア巡洋艦「ニーノ・ビクシオ」型がソーニクロフト式微粉炭燃焼装置を装備しています。
    途中で重油専焼に交換されましたが。

    カーフ

  14. >>13.
    微粉炭燃焼ボイラは1917年の米国が最初と多くの本に有りますので、ビクシオ級の記事は原著(伊書)の誤訳(英→伊)だったかも知れません。
    申し訳有りませんm(__)m
    1918年以降、少数の商船に搭載した事実は有るようです。
    駄レス国務長官


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