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2149 ロシアがいまだABMを配備しているのはなぜですか?S-300は弾道ミサイルを迎撃できる能力があるときいておりますが・・・

  1. 72年に締結されたABM条約で定義されているABM(対弾道弾ミサイル)とは、戦略兵器削減交渉(START)の対象である戦略弾道ミサイル(ICBM、SLBM)を指します。ABM条約の概要は下のHPを参照してください。
    この条約では、米ソ双方、首都周辺に100基までのABMを保有することが認められています。ただ、アメリカは70年代半ばにABMを全廃したため、その後はABMを保有するのはソ連だけとなりました。
    なおアメリカのABM、LIM-49A Spartanは75年に配備されたものの、翌年には退役という運命をたどっています。ソ連は当初SH-01(NATOコードネーム・ガロッシュ)を配備、その後、SH-08(ガゼル)、SH-11(ゴードン)に転換しています。
    (参考)
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/beiro/abm.html

    で、ロシアのS300やアメリカのパトリオットといった短距離の弾道ミサイル(例えばスカッド)を迎撃する地対空ミサイルは、戦略弾道ミサイル迎撃システムの一環に組みこまれるので無ければABMの範疇には含まれないことになります。
    アリエフ

  2. >1(訂正)「・・ABM(対弾道弾ミサイル)とは、戦略兵器削減交渉(START)の対象である戦略弾道ミサイル(ICBM、SLBM)を迎撃するための任務のミサイル・システムを指します。」
    アリエフ

  3. 回答ありがとうございます。どうやら自分の勘違いのようです。失礼しました


  4. 補足ですが、弾道ミサイル迎撃能力があるとされるのは、単なるS-300(NATOコードSA-10)ではなく、S-300V(NATOコードSA-12)です。炸薬形状を工夫し、おそらく近接信管もそれに合うように調整したことによって、限定的な弾道ミサイル迎撃能力を備えています。
    ポトマック

  5.  S-300とS-300Vではミサイル自体も全く異なります。
    S-300Vの弾体(2種は有る)は円錐状の高加速型です。
    ばり

  6. ばりさま
    「ミサイル自体の違い」は把握しておりませんでした。
    違いは弾体でしょうか?
    記憶モードですが、確か両者で到達高度に違いがあるわけだから、
    ロケットモーターも違うんですかね?
    いずれしても破片弾頭だから、
    PAC2とPAC3のような違いがあるわけではないとは思いますが。
    ポトマック

  7.  いつものFASの資料ですが、
    http://www.fas.org/nuke/guide/russia/airdef/s-300pmu.htm
    http://www.fas.org/nuke/guide/russia/airdef/s-300v.htm

    サイズも形状も全く異なります。
    ばり

  8. FASとはうっかりしていました。ざんげします。罪滅ぼしに抄訳してみました。

    SA-10(S-300PMU)
    一段固体ロケットモーター。通常100kgのHE破片弾頭を近接信管とともに装備。(戦術核バージョンもあり)迎撃可能高度は25mから30000m。最大交戦距離は最低90000m。
    誘導装置はClam Shell3次元連続波ドップラーレーダー、FLAP LID A Iバンド多機能フェイズドアレイレーダーを使用。それに加えて連隊司令部にBig Bird Fバンド長距離三次元捜索追尾レーダーを装備。
    誘導形式は最大6目標の同時誘導が可能なFLAP LID誘導レーダーによるTVM方式で、2機の迎撃体を一目標に指向する。最大週末速度は時速4200km。毎秒3基のミサイル発射が可能。
    S-300PMUの改良版であるS-300PMU1 は限定的弾道ミサイル迎撃能力及び毎秒3km以下の巡航ミサイルに対する迎撃能力を有する。

    SA-12b(S-300V)(a型とb型があるがここではb型について)
    主として対弾道ミサイル迎撃用。最大射程は100-200km。SA-12aに比して長い固体ロケットモーターを装備。
    Grill Panレーダー誘導レーダー、Bill Board A 監視レーダー、High Screenセクターレーダーを使用して迎撃。
    9S457-1指揮車両がBill Board A監視レーダー及びHigh Screenセクターレーダーからの情報に基づいてSA-12迎撃システムを運用。Bill Boardレーダーは全体監視を行う。このレーダーは200目標までの探知が可能で、目標の角度(0-55度)と距離(10-250km)の範囲で特定可能。
    High Screenセクターレーダーは弾道ミサイル迎撃任務用のレーダー。高速目標を探知した際に追尾モードを切り替え、指揮車両に軌道情報の伝達を開始する。同時に16目標の探知が可能。Grill Panレーダーは発射台の制御を行う。12目標の同時追尾が可能で、同時に6までの迎撃体を誘導可能。
    炸薬量はHE150kg。慣性誘導及びセミアクティブ自己誘導方式。

    ポトマック


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